NPO法人アニマルライツセンターは「すべての動物に思いやりを」をコンセプトに、アニマルフェアの向上と動物利用の削減に向け、活動をしております。今回はそんな活動の中から実際の活動例を教えていだただきました。
目次
1. 団体の想い
私達は人間の支配下でくるんでいる動物たちの苦しみを、すこしでも多く、少しでも早くなくしていきたいと、31年間活動を続けています。
動物は私達の生活のあらゆる面で関わっており、そのためアニマルライツセンターの活動範囲もとても広いのです。
卵や肉などの食べ物として、毛皮やアンゴラなどの衣類素材として、動物園やアニマルカフェなどにおける娯楽対象として、化粧費や食品や医療品の実験台として、ペットとして、、、、
今の社会は動物の犠牲の上になりたっています。
私達は、効果的に動物たちの苦しみをなくしていくことを使命としています。
効果的にと言っているのは、犠牲になる動物の数が毎年何千億、1兆にものぼっているからです。私達にはすべての動物を救うことは、出来ません。
つまり、とても残酷なことに、限られた人員と資金を有効に使うために、優先順位を設けています。
苦しみが大きいこと、救うことのできる動物の数が多いこと、私達がインパクトを出すことができることが、優先順位の基準です。
2. 工場畜産の課題
私達が今一番力を入れて取り組んでいる課題は、”工場畜産”です。
鶏、豚、牛たちは、毎年世界で764億頭づつ殺されており、国内だけでも毎年10億頭づつ殺されていっています。
犬や猫よりもあからさまに地位が低く、まるでゴミのような扱いを受けています。
同じように、個性を持ち、痛みも苦しみも悩みも悲しみも感じているのに。
今回のレポートでは1つ活動例を上げたいと思います。
最初にご紹介するのにふさわしい動物は、採卵鶏、つまり卵用の鶏だろうと思います。
3. 実際の事例
1羽の鶏の一生を紹介します。
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彼女が産まれた時、そこにお母さんはいなかった。大きな手に掴まれ、ベルトコンベアーで流され、コンテナに放り込まれた。これが彼女の誕生した日に起きたことだ。
金網の薄暗いケージに閉じ込められた。身体が大きくなるにつれて、動きがとりにくなった。唯一の救いは仲間がいることだった。
120日後、再びカゴに詰め込まれて輸送され、別の金網のケージに詰め込まれた。今度は2羽づつのケージで、ほとんど身動きが取れない。羽も広げられない。向きを変えるのも大変。仲間を踏みつけ、逆に踏みつけられることも日常だった。でも唯一の仲間、大切な存在だった。
仲間の体の下に潜りこんで体を隠し、毎日卵を生み続けた。
金網が食い込み足の裏が痛かった。ケージに絡まり羽や肢の骨を何度も骨折した。痛みは耐えるしかなかった。
やることがなく、金網や自分の足を突き続けた。
1年後、ケージの扉が開いた。その途端、足を捕まれカゴに叩きつけられた。肢の骨が折れた。これまでの移動とは全く違う。仲間たちの悲鳴が絶えなかった。
半日かけて運ばれ、さらに一晩放置された。身動きが取れず、喉が渇き、上からは糞や卵の液が降ってきて体が濡れた。
朝、再び仲間の悲鳴が始まった。体を捕まれ、骨折した足を引っ掛けられ、逆さに吊るされた。体を起こし、逃れようとしたが叶わなかった。そして首を鋭利な刃物で切られた。強烈な痛みが襲う。
でも産まれてきてから今まで、なにか楽しいことがあっただろうか。ずっと苦しく、辛かった。最初から最期まで自由はなかった。母親の愛情も、陽の光の暖かさも、砂浴びの心地よさも、地面を駆け回る楽しさも、餌を探す楽しみも、なにもなかった。
失血し続け、約60秒後に、彼女の一生はようやく終わった。
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4. 最後に
アニマルウェルフェアは楽しいものもしあわせなものでもありません。
彼女たちの苦しみを分析し、少しでも苦しみを減らすことを提案し続け、改善にこぎつけるのです。
それが私達の活動です。
消費者にお願いし、平飼いや放牧の卵に変えてもらうことで、1~2年間の間に味わう苦しみは大きく減ります。
輸送~と畜までの時間を2日から1日に短くすることで、少し苦しみが減ります。
と畜の前に気絶処理をすることで、最期の60秒の猛烈な苦痛が減ります。
消費者に、企業に、行政に、と畜場に、生産者に提案し抗議し交渉し続けています。
次回はこの採卵鶏の運動において少しづつでている成果をご紹介したいと思います。
2020/07/31
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