
太陽光発電の電磁波は危険?その真相と対策を専門家が解説
この記事は2025/01/25に更新されています。
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はじめに:太陽光発電の電磁波への疑問
近年、地球温暖化対策や電気代のコスト削減の観点から、太陽光発電システムの導入が急速に進んでいます。しかし、その一方で、「太陽光発電は電磁波を出しているのか?」「人体への影響は大丈夫なのか?」といった不安の声も聞かれます。
太陽光発電システムは、太陽光パネル、接続箱、パワーコンディショナーといった電気機器で構成されており、電気を使う以上、電磁波の発生は避けられません。
では、太陽光発電システムから発生する電磁波は、本当に私たちの健康に悪影響を及ぼすのでしょうか?
この記事では、太陽光発電の電磁波に関する正しい知識や、その影響について専門家の立場から詳しく解説していきます。
2. 太陽光発電と電磁波の基礎知識
太陽光発電システムの概要
太陽光発電は、太陽の光を活用して発電する方法です。発電方法としては、主に「太陽光パネル」と呼ばれる機器を使用して太陽光を電気に変換します。電気に変換するためには、ソーラーパネルをメインとして構成される太陽光発電システムが必要です。
電磁波とは?その種類と性質
出展:東京電力パワーグリッド
電磁波とは、電場と磁場の変化によって空間を伝わる波のことです。電気の影響が及ぶ範囲を「電場」、磁気の影響が及ぶ範囲を「磁場」といい、これらが互いに影響し合いながら空間を光速で伝達していきます。
電磁波は、波長(波の山から山、または谷から谷までの長さ)によって様々な種類に分けられます。波長の長いものから短いものへ順に並べると、以下のようになります。
種類 | 周波数 | 波長 | 用途例 |
電波 | ~3THz | 100μm~ | ラジオ、テレビ、携帯電話など |
光(赤外線、可視光線、紫外線) | 3THz~ | 1nm~100μm | 照明、通信、殺菌など |
X線 | 3,000THz~ | 0.01nm~1nm | 医療画像診断など |
このように、電磁波は私達の身の回りに様々な形で存在し、生活に欠かせないものとなっています。
太陽光発電システムのどの部分から電磁波が発生するのか?
太陽光パネル:電磁波は発生する?
太陽光パネルは、太陽光エネルギーを直流電力に変換する役割を担っています。発電の仕組みとして電磁誘導の原理を利用していますが、太陽光パネル自体が電磁波を発生させているわけではありません。
項目 | 内容 |
太陽光パネルの役割 | 太陽光エネルギーを直流電力に変換 |
発電の仕組み | 電磁誘導の原理を利用 |
電磁波の発生 | しない |
太陽光パネルは電磁波を発生しないため、人体への影響は極めて少ないと言えます。しかし、太陽光発電システム全体で見ると、他の機器から電磁波が発生する可能性も考えられます。
接続箱:電磁波の影響は?
接続箱は、太陽光パネルで発電された直流電流をまとめてパワーコンディショナへ送る役割を担っています。内部には電流を制御するための部品などが含まれていますが、電磁波の影響は限定的と言えるでしょう。
接続箱から発生する電磁波は、パワーコンディショナーと比較して非常に微弱です。そのため、接続箱から発生する電磁波による健康への影響はほとんどないと考えられます。ただし、接続箱は太陽光パネルからの配線が集中する場所であるため、設置場所によっては電磁波の影響が大きくなる可能性も考えられます。心配な方は、接続箱から十分な距離を確保するようにしましょう。
パワーコンディショナー:電磁波の発生源
パワーコンディショナは、太陽光パネルで発電された直流電力を、家庭で使える交流電力に変換する装置です。この変換プロセスにおいて、電磁波が発生します。
部品 | 電磁波の発生源となる理由 |
コイル | 電流を変化させる際に電磁波が発生します。 |
コンデンサ | 電気を蓄えたり放出したりする際に電磁波が発生します。 |
制御回路 | 電力の変換を制御するために、高速で電流をスイッチングするため電磁波が発生します。 |
パワーコンディショナは、太陽光発電システムの中でも特に電磁波の発生源となる可能性があるため、設置場所や電磁波対策については、後の章で詳しく解説します。
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太陽光発電の電磁波は危険?その影響は?
電磁波の人体への影響:健康被害はあるのか?
電磁波は、目に見えないエネルギーであるため、健康への影響が懸念されることがあります。太陽光発電システムから発生する電磁波についても、人体への影響が心配される方もいるかもしれません。
結論から言うと、太陽光発電システムから発生する電磁波レベルは非常に微弱であり、健康に悪影響を及ぼすという科学的根拠は認められていません。
世界保健機関(WHO)や国際非電離放射線防護委員会(ICNIRP)などの国際機関も、長年の研究に基づき、一般的な生活環境での電磁波による健康への影響はないと結論づけています。
ただし、電磁波の影響については、感受性の個人差や未解明な部分も残されていることは事実です。そのため、不安を感じる方は、電磁波対策を検討することも有効です。
日本の電磁波規制と安全基準値
日本では、電波法という法律と、電波法に基づいた電波防護指針によって、人体への電磁波の影響を考慮した安全基準値が定められています。
周波数帯 | 電界強度 (V/m) | 磁界強度 (A/m) |
50Hz/60Hz | 2,000 | 50 |
太陽光発電システムから発生する電磁波も、この安全基準値以下に抑えることが求められています。 この値は、国際非電離放射線防護委員会(ICNIRP)が示したガイドラインを参考に、科学的根拠に基づいて設定されたものであり、長期的な電磁波の影響も考慮されています。 そのため、太陽光発電システムを設置する際には、この基準値をクリアしていることを確認することが重要です。
太陽光発電システムの電磁波測定データ:実際の数値は?
実際に太陽光発電システムからどの程度の電磁波が発生しているのか、測定データを見ていきましょう。
環境省が公表している測定データによると、太陽光発電システムから発生する電磁波は、以下の通り非常に微弱です。
場所 | 測定値(μT*) | 国際非電離放射線防護委員会*制限ライン(μT) |
太陽電池パネルの裏側から20cm離れた位置 | 8.33μT | 400mT |
パワーコンディショナ周辺 | 7.49μT | 200μT |
*μT(マイクロテスラ)は電磁波の強さの単位
*国際非電離放射線防護委員会は非電離放射線(NIR)のあらゆる問題を扱うために、国際放射線防護学会(IRPA)が1992年に設立した独立専門組織です。世界保健機関(WHO)によって、公式な協力機関として正式に認められています。
他の家電製品との比較:電磁波の発生量は?
太陽光発電システムから発生する電磁波の量は、実は私たちが日常的に使用している家電製品と比較しても、少ないことが分かっています。
例えば、経済産業省が公表しているデータによると、太陽光発電システムの周辺で測定された電磁波強度は、電子レンジや掃除機などの家電製品よりも低い数値を示しています。
家電製品 | 電磁波強度(マイクロテスラ) |
電子レンジ | 80〜100 |
掃除機 | 100〜150 |
テレビ | 1〜10 |
太陽光発電システム | 10未満 |
このように、太陽光発電システムから発生する電磁波は、他の家電製品と比較しても微量であり、健康への影響はほとんどないと考えられています。
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電磁波が気になる方へ:太陽光発電システムの設置場所と対策
設置場所の重要性:電磁波の影響を最小限にするには?
太陽光発電システムを設置する際には、電磁波の影響を最小限に抑えるために、設置場所を適切に選ぶことが重要です。
具体的には、太陽光パネルや接続箱、パワーコンディショナーといった機器の設置場所について、以下のような点に注意することが大切です。
場所 | 詳細 |
居住空間 | 寝室やリビングなど、長時間過ごす部屋のすぐ近くは避け、可能な限り距離を置く |
子供部屋 | 子供は電磁波の影響を受けやすい可能性があるため、特に注意が必要 |
電磁波過敏症の方 | 電磁波への感受性が高い方は、設置場所について専門家と相談することが望ましい |
また、太陽光発電システムの設置業者に相談し、電磁波測定を実施してもらうことも有効です。測定結果に基づいて、電磁波の影響が懸念される場合は、設置場所の変更や電磁波対策を検討する必要があるでしょう。
電磁波対策:距離と遮蔽
太陽光発電システムから発生する電磁波が気になる場合は、距離と遮蔽を意識することで、その影響を低減できます。
・距離
電磁波の強度は、発生源からの距離の2乗に反比例して減衰します。そのため、太陽光発電システムと生活空間との間に十分な距離を確保することが有効です。
距離 | 電磁波の強さ |
1m | 基準 |
2m | 1/4 |
3m | 1/9 |
・遮蔽
電磁波は、金属などの導電性が高い物質で遮蔽することができます。太陽光発電システムと生活空間の間に、金属板や電磁波シールドシートなどを設置することで、電磁波の影響を軽減できます。
まとめ:太陽光発電と電磁波の正しい理解
太陽光発電システムは、環境に優しいエネルギー源として注目されていますが、電磁波の影響について不安を感じる方もいるかもしれません。
しかし、太陽光発電システムから発生する電磁波は、国の定める安全基準値よりもはるかに低いことが、測定データからも明らかになっています。4章で記載している通り、他の家電製品と比較しても、太陽光発電システムの電磁波強度は非常に低いことが分かります。
太陽光発電は、地球温暖化対策に貢献できるだけでなく、私たちの日々の生活にも多くのメリットをもたらします。電磁波の影響を正しく理解し、安心して太陽光発電システムを導入しましょう。
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