
【2025年】燃料調整費の今後の見通しは?電気料金の値上がり予測を解説
さまざまな世界情勢の変化を背景に、年々高騰しつつある電気料金。日々使う電気料金の価格には「燃料調整費」が含まれており、個人宅の電気料金から事業運営までさまざまな影響を及ぼしています。
電気料金に大きな影響を及ぼす「燃料調整費」は、今後どのような見通しなのか、電気料金の予測が気になる方も多いでしょう。
この記事では、そもそも燃料調整費とは何か、電気料金の今後の見通しや値上がり推移について徹底解説します。電気料金の補助金や高騰時の対処法も紹介しています。
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【結論】燃料調整費の今後の見通しは依然として不透明
結論から述べると、ロシアによるウクライナ侵攻の影響で高騰した燃料調整費は、当時に比べてコストが収まりつつあります。
一方で、イラン・イスラエルの戦争で地政学リスクの高まりにより原油や天然ガス価格の上昇圧力が続けば、中長期的には今後電気料金が上がる可能性も。イスラエルによるイラン攻撃後、原油価格は一時9%急騰しましたが、供給への実害が限定的なため持続的な高騰は見込まれていません。
しかし、中東の戦争が拡大すると、ホルムズ海峡の封鎖などさまざまなリスクが高まります。ホルムズ海峡は世界の原油や石油製品の約3割が通過するポイントで、海峡の封鎖や航行妨害が発生すると、日本のエネルギー供給にも深刻な影響が及ぶと考えられています。
現状は本格的な封鎖が見られず、実際のエネルギー供給への影響は限定的ですが、さまざまなリスク要因により、燃料調整費など今後の見通しが不透明なのも事実です。
電気・ガス代高騰に影響する3つの要素
電気・ガス代が高くなっている原因には、大きく分けて「燃料・為替・国際情勢」の3つが影響しています。原油や石炭、特にLNG(天然ガス)の平均価格そのものが2022年のウクライナ侵攻により大きく高騰しており、単価上昇が燃料調整費の高騰に繋がっています。
さらに、円安による影響で輸入コストが増加しているのも問題で、為替レートの変動は燃料費調整に影響を与えるのも事実です。そのうえ、国際情勢によるロシア産LNGに対する制裁により、日本への供給が制限されているため、価格高騰に影響を与えています。
燃料調整費とは一体なに?
燃料調整費とは、電力会社が火力発電に使う燃料(原油・液化天然ガス(LNG)・石炭など)の価格変動を、電気料金に反映させるための費用です。
電力会社は燃料を海外から輸入して発電していますが、国際市場の価格や為替レートによって調達コストは日々変動しています。そこで、燃料購入価格の変動分を調整し、電気料金に上乗せ、または減額する仕組みが「燃料費調整制度」です。
燃料費調整制度の目的
燃料費調整制度が導入されている目的には、大きく分けて「電力会社の経営の安定化」と「電力供給の安定化」の2つがあります。
燃料価格が急騰した場合、そのコストをすべて電力会社が負担する仕組みのままでは、経営に支障が出てしまうのも事実です。経営が不安定になると、発電設備の維持や新設はもちろん、利用者側の生活にも悪影響が出ます。
そこで、燃料費調整の制度化により、電力インフラを安定して提供し続ける体制を整えるのが燃料費調整制度の目的です。
燃料調整費と再エネ賦課金の違い
電気料金を見ていると「燃料調整費」や「再エネ賦課金」などの表記があります。混同しがちですが、「再エネ賦課金」は、再生可能エネルギー(太陽光や風力など)で発電された電力を、国が定める価格で電力会社が買い取る「FIT制度」を支えるための費用です。
項目 | 燃料調整費 | 再エネ賦課金 |
---|---|---|
対象 | 原油・LNG・石炭等の燃料価格の変動 | 再エネ発電の買い取り費用 |
計算方式 | 市場価格の変動を反映し月ごとに調整 | 国が毎年単価を設定 |
請求単価の変動 | 月単位で変動 | 年度単位で事前に算出 |
課金の計算方法 | 使用電力量 × 調整単価 | 使用電力量 × 賦課単価 |
燃料調整費と再エネ賦課金はどちらも電気料金に含まれる費用ですが、性質も変動の仕方もまったく異なるものです。
燃料費調整制度の仕組み

燃料費調整制度の仕組みは、「基準燃料価格」よりも「平均燃料価格」が高いか・低いかによって、燃料調整単価が算定されます。
- 平均燃料価格(過去3か月の輸入価格平均)
- 基準燃料価格(あらかじめ設定された基準値)
2つの差額に応じて、毎月の「燃料調整単価(円/kWh)」が決定されます。たとえば、平均燃料価格が基準燃料価格を上回った場合には、差額分が燃料調整費として電気料金に上乗せされます。
逆に、平均燃料価格が基準燃料価格よりも下回った場合には、電気料金から減額される仕組みです。単価は、使用電力量1kWhあたりに加算または減算され、最終的な電気料金に反映されます。
なお、調整には「原油」「液化天然ガス(LNG)」「石炭」の3つが使われます。3種の価格を平均して算出した値をもとに、各電力会社が毎月「燃料調整単価」を設定する仕組みです。

ただし、燃料価格が下がればすぐに電気料金が安くなる、という訳でもありません。燃料調整費への反映には3ヶ月ほどのタイムラグがあるため、価格変動の影響はしばらく遅れて表れます。
燃料費調整単価が決まる計算式
電気料金に含まれる「燃料費調整単価」は、火力発電のために使用する燃料(原油・LNG・石炭など)の価格変動を反映するためのものです。毎月変動するこの単価は、次のような計算式で求められます。
燃料費調整単価(円/kWh)=(平均燃料価格 − 基準燃料価格)× 基準単価 ÷ 1,000
たとえば、東京電力エリアの2025年7月分では、次の数値が用いられました。
- 平均燃料価格:48,500円/kL(過去3か月の実績)
- 基準燃料価格:86,100円/kL(電気料金の原価設定基準)
- 基準単価:0.183円/kWh
出典元:東京電力エナジーパートナー株式会社「2025年7月分電気料金の燃料費調整等について」
上記の数値を当てはめると、2025年7月の燃料費調整単価は「約−0.007円/kWh」となり、電気料金がわずかに減額される結果になります。
天然ガス・原油・石炭等の値上がり推移
天然ガス・原油・石炭等の料金単価推移は、一般社団法人エネルギー情報センターが運営する「新電力ネット」で確認することが可能です。ここでは、それぞれの年次推移をそれぞれご紹介します。
天然ガスの年次価格推移

原油の年次価格推移

石炭の年次価格推移

燃料調整費の補助金は今後も行われる見通し
2025年現在、日本政府は電気料金の補助金制度を実施しています。2025年1月~3月使用分まで、「電気・ガス料金負担軽減支援事業」として一般家庭や企業を対象に補助金が交付されました。
具体的な補助額は、一般家庭(低圧契約)で1月・2月は2.5円/kWh、3月は1.3円/kWhの値引きが行われました。都市ガスについても同様に、1月・2月は10円/㎥、3月は5円/㎥の補助が実施されています。
2025年7月~9月にも補助金が再開

物価高対策および夏の電力需要増加への対応として、2025年7月~9月使用分にも新たな補助金「電気・ガス料金支援」が実施されることが決定しています。補助内容は以下の通りです。
使用期間 | 都市ガス補助 | 電気補助(低圧) | 電気補助(高圧) |
---|---|---|---|
2025年7月・9月使用分 | 8.0円/㎥ | 2.0円/kWh | 1.0円/kWh |
2025年8月使用分 | 10.0円/㎥ | 2.4円/kWh | 1.2円/kWh |
たとえば、一般家庭で月260kWhの電気を使う場合、7月・9月は月520円、8月は月624円の補助となります。都市ガスを月30㎥使う場合、7月・9月は月240円、8月は月300円の補助を受けられる計算です。
なお、補助金は自動的に電気・ガス料金から値引きされるため、利用者による申請手続きは不要です。補助対象は、低圧契約の一般家庭・企業、高圧契約の企業などで、都市ガスは年間契約量1,000万㎥未満の利用者が対象です。
電気料金等補助金の今後の見通し
2025年10月以降の補助継続については、現時点で未定です。基本的に、7~9月は夏日の影響によりエアコン等の電力消費需要が高まるため、電気料金補助金が実施されています。一方で、少し気温が低くなり始める10月以降は燃料調整費等に対する補助金が実施されない見通しです。
2024年10月使用分まではガスに補助金が出ていましたが、2024年11月・12月には適用されていませんでした。その背景を踏まえると、電気料金等補助金は今夏に限られる可能性もあります。
過去に実施された電気料金・ガス代の補助金
政府はこれまで、エネルギー価格の高騰を受け、家庭や企業の光熱費負担を軽減するために複数の支援策を講じてきました。
- 2023年1月〜2024年5月:電気・ガス価格激変緩和対策事業
- 2024年8月〜10月:酷暑対応緊急支援策
【2023年1月〜2024年5月】電気・ガス価格激変緩和対策事業
燃料価格の国際的な高騰を背景に、家庭や企業が受けるエネルギーコストの急増を緩和する目的で導入されました。支援の対象となったのは、2023年1月から2024年5月にかけての使用分です。
使用期間 | 都市ガス補助 | 電気補助(低圧) | 電気補助(高圧) |
---|---|---|---|
2023年1月〜8月 | 30円/㎥ | 7円/kWh | 3.5円/kWh |
2023年9月〜2024年4月 | 15円/㎥ | 3.5円/kWh | 1.8円/kWh |
2024年5月 | 7.5円/㎥ | 1.8円/kWh | 0.9円/kWh |
この施策が始まった背景には、ロシアとウクライナの紛争による世界的な燃料価格の上昇や、円安の影響がありました。光熱費の急激な上昇は、家庭だけでなく企業活動にも影響を及ぼし、日本経済全体に打撃を与えています。
もともとは2023年12月分までの実施予定でしたが、物価の高騰が継続したため、2024年5月分までの延長が決定されました。
【2024年8月〜10月】酷暑対応緊急支援策
この支援は、2024年夏の異常気象による気温上昇が予測されるなか、特に冷房利用が増える季節に合わせて導入された緊急対策です。過度なエアコン使用による光熱費の負担を軽減することを目的に、導入が進められました。
使用期間 | 都市ガス補助 | 電気補助(低圧) | 電気補助(高圧) |
---|---|---|---|
2024年8月・9月 | 17.5円/㎥ | 4.0円/kWh | 2.0円/kWh |
2024年10月 | 10.0円/㎥ | 2.5円/kWh | 1.3円/kWh |
「2025年7月~9月の補助金」も同じく、夏場を乗り切るため補助金が提供されます。
電気料金が高くなると予測されるときの対処法
さまざまな背景から燃料調整費が変動している昨今では、「高騰する電気料金を抑えたい」と考える方も多くなっています。より電気料金が高くなってしまうのを避けたい場合は、以下の対処法を検討するのがおすすめです。
- 電力会社の見直し
- 太陽光発電+蓄電池の再エネを検討する
- 省エネ対策を徹底して使用量を減らす
ここでは、電気料金が高くなると予測されるときの対処法をそれぞれ紹介します。
電力会社の見直し
電気料金の節約として、契約している電力会社の見直しも選択肢のひとつです。特に電力自由化以降は、さまざまな企業が電気の供給を始めており、料金プランやサービス内容に大きな差があります。
たとえば、同じ使用量でも電力量料金が1kWhあたり1〜2円異なるだけで、年間で数千〜数万円の差になることも。比較サイトや電力会社の公式ページを活用し、自身のライフスタイルに合ったプランを選ぶことが大切です。
さらに、セット割やポイント還元、ガスとのセット契約などを活用すれば、さらにお得になります。
ただし、自由料金プランには、燃料費調整額の上限が設けられていないサービスも多く、エネルギー価格の高騰時には急な値上げリスクも。契約前に上限等の確認を必ず行いましょう。
また、事業者の信頼性やサポート体制も、見直し時の判断基準に加えると安心です。
実際に、電力調達価格の高騰により採算が取れなくなり、新電力会社が倒産したケースは近年急増しています。過去の実績を踏まえ、近年でもしっかりと運営されているか確認しましょう。
太陽光発電+蓄電池の再エネを検討する
将来的な電気料金高騰に対する対策として、もっともおすすめな手法が「太陽光発電と蓄電池」の導入です。一昔前は売電収入が注目されていましたが、近年では太陽光発電と蓄電池を組み合わせて、発電した電力を自家消費することで得られる節電効果が注目されています。
自家消費型の環境を構築すれば、日中に発電した電力を家庭で直接利用し、余剰分は蓄電池に溜めて夜間に使用できます。その結果、電力会社からの購入電力量を大きく削減でき、電気料金の変動リスクを抑えられるのが魅力です。
近年はFIT(固定価格買取制度)の売電価格が下がっているため、「売るより使う」方向へシフトする家庭が増えています。特に昼間の在宅率が高い世帯では、自家消費率を高めやすく、投資コストの早期回収も現実的です。
さらに、停電時には蓄電池を活用すれば非常用電源として機能するため、防災対策にもなるメリットも。自治体によっては補助金が出る場合もあるため、導入前に地域の制度を確認することも重要です。
▶太陽光発電の設置費用補助金はもらえる?補助金の種類と利用方法を解説
省エネ対策を徹底して使用量を減らす
電気料金を抑えるもっとも確実な方法は、電力の使用量そのものを減らす取り組みです。無理なく継続できる省エネ対策を実践すれば、料金上昇の影響を最小限に抑えられます。たとえば、LED照明や高効率エアコンへの切り替えは代表的な手法です。
特に古い家電製品は消費電力が高いため、買い替えによって電力消費を大幅に削減できます。また、「冷蔵庫の開閉時間を減らす」「エアコンの設定温度を見直す」「待機電力をカットする」など、日常のちょっとした工夫も効果的です。
近年ではスマート家電やエネルギー見える化アプリを活用して、家庭内の消費電力量をリアルタイムで把握できるようになっています。どの時間帯や家電が多くの電力を使っているのか一目でチェックできるため、効率的に対策を行えるのが魅力です。
また、断熱リフォームやカーテンの見直しなど、住宅のリフォームも省エネ対策として有効です。近年ではGX志向型住宅など高機能な省エネ住宅に対して国から補助金が交付されているため、チェックするのをおすすめします。
▶GX志向型住宅の補助金はいくらもらえる?条件・基準・申請手順を解説項目
よくある質問(Q&A)
Q. 燃料調整費とは何ですか?
A. 燃料調整費とは、火力発電に使われる原油・LNG・石炭などの燃料価格の変動を、電気料金に反映するための制度です。価格が上がれば加算、下がれば減額されます。
Q. 電気料金が上がるのはいつからですか?
A. 一般的に、燃料価格の変動は燃料調整費に3か月ほど遅れて反映されます。2025年夏の補助金終了後、秋以降に電気料金が上がる可能性があります。
Q. 電気料金の補助金はいつまで続きますか?
A. 2025年7月~9月分の使用に対しては、電気・ガス料金支援による補助金が実施されます。ただし、10月以降の継続については未定です。
Q. 再エネ賦課金と燃料調整費の違いは?
A. 燃料調整費は燃料価格の変動に基づき月ごとに調整されます。一方、再エネ賦課金は再生可能エネルギーの固定価格買取制度(FIT)を支えるための費用で、国が毎年単価を定めています。
Q. 太陽光+蓄電池を導入すると電気料金は安くなりますか?
A. 自家消費型の太陽光+蓄電池を導入すれば、電力会社からの購入電力量を減らせるため、電気料金の変動リスクを抑えられます。補助金を活用すれば導入負担も軽減可能です。
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まとめ:燃料調整費の見通しは不明確だが対策アリ
2025年以降、燃料調整費はしばらく高い水準で推移することが予測されます。国際燃料価格や為替、再エネの普及率や制度変更など複数の要素が複雑に絡み合っているため、明確な「安定」は見通しづらい状況です。
だからこそ、今できる対策をしっかり講じる取り組みが重要です。
- プランや電力会社を見直す
- 自家消費型の再エネ+蓄電池を検討する
- 省エネ対策を実施して「使用量」を減らす
将来の電気料金リスクを見越して、今こそ「エネルギーの自衛」を考えるタイミングだと言えるでしょう。
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