
蓄電池とV2Hは何が違う?選び方や特徴の違いを比較&メリット紹介
この記事は2025/03/02に更新されています。
近年、自宅での電気の自給自足に対するニーズが高まっています。その背景には、自然災害による長期的な停電への備えや、電気代の節約、環境に配慮した電気の活用などの理由があげられます。
特に注目されているのが、蓄電池やV2H(Vehicle to Home)の活用です。太陽光発電について調べている時、「蓄電池とV2Hって何が違うの?」と頭を悩ませる方も少なくありません。
この記事では、蓄電池とV2Hは何が違うのか、どちらを選ぶべきかなど選び方から違いまで徹底解説します。補助金の有無についても解説していますので、ぜひご参照ください。
蓄電池とV2Hの特徴とは?
蓄電池とV2Hはどちらも電気を溜めて、供給できるという特徴があります。しかし、用途にはそれぞれ違いがあるのも事実です。
ここでは、蓄電池とV2H(Vehicle to Home)のそれぞれの特徴について解説します。
種類 | 蓄電池 | V2H |
---|---|---|
電力源 | 太陽光発電の余剰電力 | 電気自動車のバッテリー |
主な用途 | 日常の電力供給、非常時の電源 | 非常時の電源 |
蓄電池とは?
蓄電池とは、電気エネルギーを貯蔵し、必要な時に電気機器へ供給する装置です。V2Hシステムとは異なり、蓄電機能を備えている点が特徴ですが、一般的な家庭用蓄電池の貯蔵容量は、電気自動車(EV)やプラグインハイブリッド車(PHEV)のバッテリーに比べて大幅に小さいのが現状です。
しかし、太陽光発電システムと連携する場合、蓄電池はV2Hシステムにはない利点を発揮します。
例えば、日中にEV・PHEVを頻繁に使用する場合、V2Hシステムでは太陽光発電のピーク時に充電できないことがありますが、蓄電池であればそれが可能です。
日常的に電力を供給したり、万が一のときの電源として活用したりできるのが蓄電池の特徴です。その性質から、太陽光発電システムとセットで導入して余った電気を溜め、夜間や災害時のバックアップ電源として利用されるシーンも多くなっています。
V2Hとは?
V2Hとは、「Vehicle to Home」の略称で、「車両から家庭へ」と直訳されます。電気自動車(EV)やプラグインハイブリッド車(PHEV)に搭載されたバッテリーの電力を、家庭内で使用できるようにするシステムを指します。
つまり、V2Hシステムとは、EVやPHEVのバッテリーを家庭用蓄電池として有効活用できるのが特徴です。
従来のEV充電設備は、「住宅→EV車」の一方的な電力供給のみでした。V2Hシステムは、「住宅→EV車→住宅」への電力供給を可能にしており、災害時の非常用電源として活用できるのが魅力です。
車の大容量バッテリーは今まで走行時以外活用されてきませんでしたが、V2Hを採用することで、万が一の「非常用電源」として利用できるのが特徴です。
蓄電池とV2Hの違い
蓄電池とV2Hは、どちらも電気を貯めて利用するシステムですが、その仕組みや利用シーンにはいくつかの重要な違いがあります。
蓄電池とは
蓄電池とは、電気エネルギーを貯蔵し、必要な時に放電するための装置です。主に太陽光発電システムとセットで利用されます。
- 機能
- 電気エネルギーを貯蔵し、必要な時に放電する装置
- 太陽光発電システムなどで発電した余剰電力を貯めて、夜間や停電時に利用できる
- 特徴
- 住宅に設置する定置型が一般的
- V2Hと比較して、貯蔵容量は小さい傾向がある
- いつでも安定した電力供給が可能
- 用途
- 家庭での電力ピークシフト、停電対策
- 太陽光発電の自家消費率向上
太陽光発電の余剰電力を貯める
太陽光発電システムと蓄電池を合わせて導入することで、昼間に太陽光発電で発電した電気を蓄電池に蓄えられます。
夜間や電気の使用量が多い時間帯に、蓄電池に溜められた電気を使用すれば、電気代の大幅な節約が可能です。
停電時のバックアップ電源としても使える
蓄電池を設置していれば、災害時や停電時でもいつも通り電気を使えます。
小さいお子さまがいるご家族やペットを飼われているご家庭など、災害時も自宅で過ごしたい方には太陽光発電と蓄電池の導入がおすすめです。冷蔵庫などの食べ物も守りやすく、避難所生活を回避できるケースがあります。
V2Hとは
V2Hとは、電気自動車(EV)を家庭の電源として利用できるようにするものです。
- 機能
- 電気自動車(EV)やプラグインハイブリッド車(PHEV)のバッテリーに蓄えられた電力を、家庭に供給するシステム
- EV・PHEVを大型の移動式蓄電池として活用できる
- 特徴
- EV・PHEVのバッテリー容量が大きいため、蓄電池よりも大容量の電力を供給できる
- 車両のバッテリーを利用するため、車両がない場合は利用できない
- V2Hは電気の種類を変換する機器のため、V2H機器自体に蓄電機能はない
- 用途
- 停電など緊急時のバックアップ電源
電気自動車のバッテリーを家庭で活用する
EVに搭載されたバッテリーに貯めた電気を家庭に供給できます。これにより、EVは移動手段としてだけでなく、家庭の電源としても利用できます。
電気代の節約や非常時の電源確保が可能
太陽光発電などで発電した電気をEVに蓄え、必要なときに家庭に供給すれば、電気の自給自足率をアップさせることができます。
ただし、蓄電池に比べると、V2Hは日常的に活用するようなシステムではありません。
そのため、「日常的にも恩恵を受けられるのが蓄電池」「緊急時に恩恵を受けられるのがV2H」といった点が大まかな違いです。
蓄電池とV2Hの比較ポイント
蓄電池とV2H(Vehicle to Home)は、どちらも家庭に電力を供給できる点で共通しています。しかし、その仕組みや利用シーンは大きく異なるのも事実です。
ここでは、下記の違いについて比較点をそれぞれ解説します。
利用できるタイミングの違い:常時利用可能な蓄電池と車両依存のV2H
蓄電池は、住宅に設置される固定型のエネルギー貯蔵システムです。一度設置すれば、天候や時間帯に関わらず、常に電力の充電・放電を行えます。太陽光発電システムと連携させることで、昼間に余剰電力を蓄え、停電時や夜間で日常的に利用するなど、柔軟な運用を行いやすいのが魅力です。
一方、V2Hは電気自動車(EV)またはプラグインハイブリッド車(PHEV)のバッテリーを電力源とするため、車両が自宅に接続されている場合にのみ利用可能です。外出中や充電が必要な場合など、EV・PHEVが利用できない状況では、V2Hシステムも機能しません。
V2Hはその利用タイミングが車両の状況に大きく依存する点が、蓄電池とのもっとも大きな違いと言えるでしょう。
蓄電できる容量の違い:家庭用蓄電池の容量限界と大容量バッテリーのV2H
家庭用蓄電池の容量は、一般的に5kWh~7kWh程度が多くなっています。大型モデルでは10kWh前後のタイプもありますが、最大でも15kWh程度がほとんどです。日常生活で必要な最低限の電力を賄うには十分ですが、長期間の停電や電力消費量の多い家庭では、容量不足を感じる可能性があります。
一方で、V2Hで利用されるEV車のバッテリーは、家庭用蓄電池をはるかに上回る容量を持っているのが違いです。日本で販売されているEV車のバッテリー容量は、少ないモデルでも20kWh、多ければ100kWhを超えるモデルもあります。
そのため、「緊急時に使える電力」としての最大容量は、V2Hの方が多い傾向にあります。
1kWhあたりの導入費の違い:コストパフォーマンス重視ならEV+V2H、コスト重視なら蓄電池
経済産業省では、蓄電池における本体価格の相場について、「容量1kWhあたり平均14万円(※工事費を含む)」だとされています。10kWhの蓄電池を導入する場合は、本体価格だけでも140万円ほどの費用が必要です。
一方で、V2Hの機器価格は製品によって大きく異なり、60万~150万円ほど掛かる場合があります。それに加えて、EC本体の車体費用も考慮しなければなりません。
たとえば、トヨタ「bZ4X G」はバッテリー容量が71.4kWhで、新車価格は550万円です。計算すると、「容量1kWhあたり約7万円」になり、V2H機器の150万円を加味しても「容量1kWhあたり約10万円」と、蓄電池よりも安価に抑えられます。
ただし、総額費用を比較してみると、その差は大きくなるのも事実です。「バッテリー容量」として見た場合はEV+V2Hにコストパフォーマンスで軍配が上がるものの、「総額コスト」として見た場合は、必要十分な容量を備えた蓄電池の方が安く抑えられると言えます。
利用できる補助金の違い:国や自治体の補助金範囲を要チェック
蓄電池やV2Hの導入には、国や自治体による補助金を活用できる場合があります。補助金の有無で初期コストが変わってくるため、検討する際は補助金の確認が重要です。
蓄電池・V2Hの両方に適応できる補助金や、一部用途が限られているもの、条件が多く設けられている補助金などさまざまですので、お住まいのエリアに応じてどのような補助金が提供されているかチェックするのがおすすめです。
下記より、都道府県の自治体別に補助金情報をまとめておりので、ぜひ参考にしてくださいね。
蓄電池とV2Hを併用するメリット・デメリット
蓄電池とV2H(Vehicle to Home)は併用できます。家庭内のエネルギー管理がより効率的になり、経済的・環境的なメリットが増加するのも事実です。蓄電池とV2Hを併用することで、以下のようなメリットがあります。
メリット:非常時も電力を安定供給できる
蓄電池は日常的な電力の調整やバックアップに、V2Hは大容量の電力供給に特化することで、相互に補完し合い、電力の安定供給と自家消費率の向上が期待できます。
たとえば、太陽光発電で余った電力を蓄電池に貯め、さらにEV・PHEVにも充電しておくことで、夜間や停電時に長時間電力を利用できます。
日常的には蓄電池で補い、万が一のトラブルではEVで大容量のバッテリーを確保できるため、災害時の電力供給を安定して質を下げない生活を送れるのが魅力です。
メリット:電気料金の削減/節約効果が期待できる
電力需要のピーク時に蓄電池やEV・PHEVから電力を供給すれば、電力会社からの購入量を減らし、電気料金を削減できます。また、深夜の割安な電力をEV・PHEVに充電し、昼間にV2Hで家庭に供給することで、電気料金を最適化できます。
特に、近年ではエネルギー料金が高騰しており、太陽光発電の電力を自家消費することで得られる節電効果が大きくなってきているのも事実です。蓄電池とV2Hを組み合わせれば、日中に発電した電力を夜間まで活用できるため、自家消費量を最大化して電気代の削減/節約効果を期待できるのは大きなメリットです。
デメリット:導入コストが高くなる
蓄電池とV2Hの両方を導入するため、初期費用が高額になります。
設備 | 概算費用(税込) |
---|---|
設備 | 概算費用(税込) |
蓄電池(6.5kWh) | 250万円前後 |
V2H | 90万円前後(工事費含む) |
蓄電池とV2Hの選び方
蓄電池とV2Hのおすすめの選び方は、以下の3点から総合的に判断するのがよいでしょう。
電気の供給力を重視する場合はV2H
V2Hは電気自動車のバッテリー容量に応じて、大きな電気の供給力を持ちます。家庭の消費電力をほぼ賄える場合もあり、十分な供給力が必要な場合はV2Hがおすすめです。
日常的な電気の使用を重視する場合は蓄電池
蓄電池は太陽光発電の余剰電力を貯めるため、日常的な電気使用時に適しています。発電量が少ない日でも活用できるのが利点です。
非常時の電力確保を重視する場合は併用
非常時の電力確保を重視する場合は、蓄電池とV2Hを併用すれば、電気の確保力が大幅に向上します。ただし、導入コストが高くなり運用が複雑になるデメリットもあります。
このように、電気の供給力、日常利用、非常時対応のいずれを重視するかによって、おすすめは異なります。ご家庭の用途に合わせて、最適なシステムを選びましょう。
まとめ
蓄電池とV2Hは、それぞれメリット・デメリットがあります。
蓄電池は、太陽光発電の余剰電力を貯めたり、停電時のバックアップ電源として利用できます。一方で、V2Hは、電気自動車のバッテリーを家庭で活用できる点が特徴です。電気代の節約や非常時の電源確保が可能ですが、電気自動車の維持費用がかかります。
そのため、おすすめの選び方としては以下の通りです。
- 電気の供給力を重視する場合はV2H
- 日常的な電力供給を重視する場合は蓄電池
- 非常時の電力確保を重視する場合は併用
ご家庭の需要に合わせて、蓄電池とV2Hのどちらが良いか検討しましょう。
先ほど紹介したように、蓄電池やV2Hは導入費用が数百万円程度かかります。
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