2024/09/02 お役立ちコラム

太陽光発電の電磁波は危険?その真相と対策を専門家が解説

はじめに:太陽光発電の電磁波への疑問

近年、地球温暖化対策や電気代のコスト削減の観点から、太陽光発電システムの導入が急速に進んでいます。しかし、その一方で、「太陽光発電は電磁波を出しているのか?」「人体への影響は大丈夫なのか?」といった不安の声も聞かれます。

太陽光発電システムは、太陽光パネル、接続箱、パワーコンディショナーといった電気機器で構成されており、電気を使う以上、電磁波の発生は避けられません。

では、太陽光発電システムから発生する電磁波は、本当に私たちの健康に悪影響を及ぼすのでしょうか?

この記事では、太陽光発電の電磁波に関する正しい知識や、その影響について専門家の立場から詳しく解説していきます。

2. 太陽光発電と電磁波の基礎知識

太陽光発電システムの概要

太陽光発電は、太陽の光を活用して発電する方法です。発電方法としては、主に「太陽光パネル」と呼ばれる機器を使用して太陽光を電気に変換します。電気に変換するためには、ソーラーパネルをメインとして構成される太陽光発電システムが必要です。

電磁波とは?その種類と性質

出展:東京電力パワーグリッド

電磁波とは、電場と磁場の変化によって空間を伝わる波のことです。電気の影響が及ぶ範囲を「電場」、磁気の影響が及ぶ範囲を「磁場」といい、これらが互いに影響し合いながら空間を光速で伝達していきます。

電磁波は、波長(波の山から山、または谷から谷までの長さ)によって様々な種類に分けられます。波長の長いものから短いものへ順に並べると、以下のようになります。

種類周波数波長用途例
電波~3THz100μm~ラジオ、テレビ、携帯電話など
光(赤外線、可視光線、紫外線)3THz~1nm~100μm照明、通信、殺菌など
X線3,000THz~0.01nm~1nm医療画像診断など

このように、電磁波は私達の身の回りに様々な形で存在し、生活に欠かせないものとなっています。

太陽光発電システムのどの部分から電磁波が発生するのか?

太陽光パネル:電磁波は発生する?

太陽光パネルは、太陽光エネルギーを直流電力に変換する役割を担っています。発電の仕組みとして電磁誘導の原理を利用していますが、太陽光パネル自体が電磁波を発生させているわけではありません。

項目内容
太陽光パネルの役割太陽光エネルギーを直流電力に変換
発電の仕組み電磁誘導の原理を利用
電磁波の発生しない

太陽光パネルは電磁波を発生しないため、人体への影響は極めて少ないと言えます。しかし、太陽光発電システム全体で見ると、他の機器から電磁波が発生する可能性も考えられます。

接続箱:電磁波の影響は?

接続箱は、太陽光パネルで発電された直流電流をまとめてパワーコンディショナへ送る役割を担っています。内部には電流を制御するための部品などが含まれていますが、電磁波の影響は限定的と言えるでしょう。

接続箱から発生する電磁波は、パワーコンディショナーと比較して非常に微弱です。そのため、接続箱から発生する電磁波による健康への影響はほとんどないと考えられます。ただし、接続箱は太陽光パネルからの配線が集中する場所であるため、設置場所によっては電磁波の影響が大きくなる可能性も考えられます。心配な方は、接続箱から十分な距離を確保するようにしましょう。

パワーコンディショナー:電磁波の発生源

パワーコンディショナは、太陽光パネルで発電された直流電力を、家庭で使える交流電力に変換する装置です。この変換プロセスにおいて、電磁波が発生します。

部品電磁波の発生源となる理由
コイル電流を変化させる際に電磁波が発生します。
コンデンサ電気を蓄えたり放出したりする際に電磁波が発生します。
制御回路電力の変換を制御するために、高速で電流をスイッチングするため電磁波が発生します。

パワーコンディショナは、太陽光発電システムの中でも特に電磁波の発生源となる可能性があるため、設置場所や電磁波対策については、後の章で詳しく解説します。

太陽光発電の電磁波は危険?その影響は?

電磁波の人体への影響:健康被害はあるのか?

電磁波は、目に見えないエネルギーであるため、健康への影響が懸念されることがあります。太陽光発電システムから発生する電磁波についても、人体への影響が心配される方もいるかもしれません。

結論から言うと、太陽光発電システムから発生する電磁波レベルは非常に微弱であり、健康に悪影響を及ぼすという科学的根拠は認められていません。

世界保健機関(WHO)や国際非電離放射線防護委員会(ICNIRP)などの国際機関も、長年の研究に基づき、一般的な生活環境での電磁波による健康への影響はないと結論づけています。

ただし、電磁波の影響については、感受性の個人差や未解明な部分も残されていることは事実です。そのため、不安を感じる方は、電磁波対策を検討することも有効です。

日本の電磁波規制と安全基準値

日本では、電波法という法律と、電波法に基づいた電波防護指針によって、人体への電磁波の影響を考慮した安全基準値が定められています。

周波数帯電界強度 (V/m)磁界強度 (A/m)
50Hz/60Hz2,00050

太陽光発電システムから発生する電磁波も、この安全基準値以下に抑えることが求められています。 この値は、国際非電離放射線防護委員会(ICNIRP)が示したガイドラインを参考に、科学的根拠に基づいて設定されたものであり、長期的な電磁波の影響も考慮されています。 そのため、太陽光発電システムを設置する際には、この基準値をクリアしていることを確認することが重要です。

太陽光発電システムの電磁波測定データ:実際の数値は?

実際に太陽光発電システムからどの程度の電磁波が発生しているのか、測定データを見ていきましょう。

環境省が公表している測定データによると、太陽光発電システムから発生する電磁波は、以下の通り非常に微弱です。

場所測定値(μT*)国際非電離放射線防護委員会*制限ライン(μT)
太陽電池パネルの裏側から20cm離れた位置8.33μT400mT
パワーコンディショナ周辺7.49μT200μT

*μT(マイクロテスラ)は電磁波の強さの単位

*国際非電離放射線防護委員会は非電離放射線(NIR)のあらゆる問題を扱うために、国際放射線防護学会(IRPA)が1992年に設立した独立専門組織です。世界保健機関(WHO)によって、公式な協力機関として正式に認められています。

他の家電製品との比較:電磁波の発生量は?

太陽光発電システムから発生する電磁波の量は、実は私たちが日常的に使用している家電製品と比較しても、少ないことが分かっています。

例えば、経済産業省が公表しているデータによると、太陽光発電システムの周辺で測定された電磁波強度は、電子レンジや掃除機などの家電製品よりも低い数値を示しています。

家電製品電磁波強度(マイクロテスラ)
電子レンジ80〜100
掃除機100〜150
テレビ1〜10
太陽光発電システム10未満

このように、太陽光発電システムから発生する電磁波は、他の家電製品と比較しても微量であり、健康への影響はほとんどないと考えられています。

電磁波が気になる方へ:太陽光発電システムの設置場所と対策

設置場所の重要性:電磁波の影響を最小限にするには?

太陽光発電システムを設置する際には、電磁波の影響を最小限に抑えるために、設置場所を適切に選ぶことが重要です。

具体的には、太陽光パネルや接続箱、パワーコンディショナーといった機器の設置場所について、以下のような点に注意することが大切です。

場所詳細
居住空間寝室やリビングなど、長時間過ごす部屋のすぐ近くは避け、可能な限り距離を置く
子供部屋子供は電磁波の影響を受けやすい可能性があるため、特に注意が必要
電磁波過敏症の方電磁波への感受性が高い方は、設置場所について専門家と相談することが望ましい

また、太陽光発電システムの設置業者に相談し、電磁波測定を実施してもらうことも有効です。測定結果に基づいて、電磁波の影響が懸念される場合は、設置場所の変更や電磁波対策を検討する必要があるでしょう。

電磁波対策:距離と遮蔽

太陽光発電システムから発生する電磁波が気になる場合は、距離遮蔽を意識することで、その影響を低減できます。

・距離

電磁波の強度は、発生源からの距離の2乗に反比例して減衰します。そのため、太陽光発電システムと生活空間との間に十分な距離を確保することが有効です。

距離電磁波の強さ
1m基準
2m1/4
3m1/9

・遮蔽

電磁波は、金属などの導電性が高い物質で遮蔽することができます。太陽光発電システムと生活空間の間に、金属板や電磁波シールドシートなどを設置することで、電磁波の影響を軽減できます。

まとめ:太陽光発電と電磁波の正しい理解

太陽光発電システムは、環境に優しいエネルギー源として注目されていますが、電磁波の影響について不安を感じる方もいるかもしれません。

しかし、太陽光発電システムから発生する電磁波は、国の定める安全基準値よりもはるかに低いことが、測定データからも明らかになっています。4章で記載している通り、他の家電製品と比較しても、太陽光発電システムの電磁波強度は非常に低いことが分かります。

太陽光発電は、地球温暖化対策に貢献できるだけでなく、私たちの日々の生活にも多くのメリットをもたらします。電磁波の影響を正しく理解し、安心して太陽光発電システムを導入しましょう。

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    この記事のライター

  • 所属
    代表取締役
    名前
    池田 将太
    これまでの経験

    麗澤大学に在学中、大洋州の島国ミクロネシア連邦へ渡航し、同国の環境問題に衝撃を受けて国際協力活動を開始しました。小学校における環境教育や廃棄物を活用した商品開発を経験した後、島国のエネルギー課題のモデルを研究し、2020年10月より小水力発電のコンサルティングを行う株式会社リバー・ヴィレッジでインターンとして勤務。2021年4月からは、社会課題をビジネスで解決する株式会社ボーダレス・ジャパンに新卒起業家として入社し、ハチドリ電力事業にて法人営業やカスタマーサポート業務に従事しました。その後、同年7月に初期費用0円のハチドリソーラー事業を創業し、2022年8月にハチドリソーラーを独立法人化し、代表取締役に就任。その後2023年12月には自然エネエルギー小売事業「ハチドリ電力」の代表にも就任。

    ハチドリソーラーでの担当業務

    新規事業の立案・戦略設計・およびBtoBアライアンス営業に重点を置いています。国内外のエネルギー問題に対応するため、革新的な社会的ソリューションの開発に注力しています。市場のニーズを深く理解し、持続可能なビジネスモデルを生み出すことで、エネルギー分野における重要な社会課題を解決します。

    私の想い

    世界規模の大きな課題である「地球温暖化」「エネルギー資源」問題の解決に人生を賭けて、取り組んでいきたいです。
    「今よりいい社会を次の世代につなぐ」その想いを大切にして、本当に持続可能と呼べる社会づくりに取り組んでいきます。

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