自分の学校を、胸を張って語れるように。 星の杜中学校・高等学校が描く未来

学校法人宇都宮海星学園 星の杜中学校・高等学校さま
- 学校法人
- 101名〜500名

栃木県宇都宮市にある、学校法人宇都宮海星学園 星の杜中学校・高等学校 。かつては生徒募集停止や定員割れなど、大きな転換期を迎えていた学校でした。
そこに、改革を託されたのが小野田校長でした。現在は、校則なし・定期テストなしという大胆な教育方針を掲げ、多くの教育関係者が視察に訪れる学校へと変化しています。
けれど今回のお話から感じたのは、“新しい学校づくり”という言葉だけでは表現しきれないものでした。その根底にあったのは、「子どもたちは、本来もっと社会に前向きになれる」という、小野田校長のまっすぐな願いがありました。
「必要とされる学校」を、ゼロから考え直した
もともとは、教育のお仕事をされていたのですか?

いえ、もともとは旅行会社で、修学旅行などを手がけていました。関わった学校は200校近く。いろんな学校を、外から見てきたんです。
会社を離れて最初に立ち上げたのは、学校ではなく保育園でした。きっかけは、当時報じられていた、子どもをめぐる痛ましいニュース。誰か一人を責めて終わる話ではなく、もっと根っこにある社会の仕組みに目を向けないと、と感じたんです。
保育園を運営していると、企業や学校から、組織づくりや教育の相談をいただくようにもなって。そんなとき声をかけてもらったのが、当時の宇都宮海星女子学院中学校・高等学校 でした。学校を、根本から変えたいんだ、と。生徒が年々減っていて、中学の募集も止まっていた。これは大変だぞ、というのが正直な印象でした。
改革のために、何から始めたのでしょう?
まずは、目に見える部分から変えていきました。 校名も、宇都宮海星女子学院から星の杜へ。共学にもしました。でも、それだけで生徒が集まるわけではないんですよね。
社会に必要とされる学校になるには、これからの社会で活躍できる人を育てないといけない。じゃあ、必要とされる人ってどんな人なんだろう。そうして考えてたどり着いたのが、「チェンジメーカー」という考え方でした。
「自分で考え、行動できる人」を育てたい
そのチェンジメーカーとは、具体的にどんな人物像なんでしょう?

すごい発明をするとか、ノーベル賞を取るとか、世の中を変えてやろうとか。そういう特別な人を育てたいわけでは、まったくないんです。
自分の身近にある違和感や気づきに目を向けて、構えすぎず、仲間を集めて、解決に向かって動ける人。それが、私たちの考えるチェンジメーカーです。
特別な才能がいる、ということではないんですね。
そうなんです。誰でもなれる。そこが、いちばん大事だと思っています。
だから星の杜では、「自分で考えて、自分で判断する」経験を大切にしています。そのため、いわゆる校則はありません。定期テストもなくしました。決められたルールや評価では、一人ひとりの“やってみたい”が育たないからです。
子どものことを考えて、まず先生に向き合った
そうした学校をつくるために、まずはじめたことはなんでしょうか。

生徒のことと同じくらい先生の働く環境も大切だと考えていました。
どんな理念を掲げても、それを生徒たちに届けるのは、結局は日々向き合う先生たちですから。その先生に余裕がなければ、理想の教育なんてできないんですよね。生徒が生き生きするかどうかは、先生が生き生きしているかどうかと、同じだと思っているんです。
先生のために、具体的にどんなことを?
私立の学校では、先生が地域の中学校へ生徒募集の営業に出ることが多いんです。 でも、それは先生が本当にやりたかったことではないし、苦手な人もいる。また、やはり営業はイヤイヤやるものではないですからね。
だから、マーケティング専任のチームをつくりました。生徒募集や広報はそのマーケティングチームが担って、先生には、生徒と向き合うことや、自分の授業を磨くことに、できるだけ時間を使って欲しいと考えました。
生徒が、自分の学校を語りはじめた
先生に時間が生まれて、生徒に変化はありましたか?
はい、まず先生たちの授業改革が急速に進んでいきました。一斉授業から、ディスカッション中心の授業に変えたことで、生徒が生き生きしはじめました。
いちばん変化を感じるのは、生徒が自分の学校を語るようになったこと。うちは授業の視察が多くて、いつもいろんな大人が出入りしているのですが、そのとき生徒のほうから「今こういう授業をやっているんです」と、説明することがあるんですよ。自分の学校に、誇りを持ってくれている。
いい変化が伝わっているんですね。
そうなんです。生徒が誇らしげに学校のことを話す姿を見ると、先生も誇らしくなる。そういう、いいサイクルが生まれているなと感じます。

電気を選ぶ、その先のつながり
今回は、学校の電気をハチドリ電力に切り替えてくださっていましたよね。
実は、最初に立ち上げた保育園のときからハチドリ電力を使っていたんです。もう5年くらい前になりますね。ただ、今回の星の杜への導入は、同じようにハチドリ電力を使っている別の学校から、声をかけてもらえたのがきっかけでした。
ほかの学校の取り組みが、きっかけになったんですね。
そうなんです。もちろん、学校として自然エネルギーを使っていることを生徒や保護者に知ってもらえる、というブランディング的な良さもあります。
そして、同じ想いを持っている学校どうしがつながれることも魅力ですね。うちもこうして声をかけてもらえたように、学校から学校へ広がっていって、いつか一緒に何かできるかもしれない。ひとつの学校でできることは小さくても、つながれば、もっと大きなことができるようになるかもしれません。
学校から、社会の希望を育てていく

これから、どんな学校を目指していくのでしょうか?
社会に対して、前向きに向き合える人を育てていきたいです。
日本の高校生って、社会に対してネガティブだと言われるんです。自分が社会の役に立てるとは思えない、という子も多い。でも私は、それは生まれつきでも、今の子だからでもなくて、これまでの学校教育がそうさせてしまった面があると思うんです。社会の急激な変化に対して、学校教育の変化は全く追いついていけていない。でも、当たり前ですが、すべての生徒は、必ず社会に出ていくんです。在学中にもっと社会との接点を持つ機会が必要です。
ただ、うちのような小さな学校だけでは、大きな動きはつくれない。だから、同じ思いを持つ学校や先生を、もっと日本中に増やしていきたい。そうした輪は、少しずつ広がりはじめていて、 2027年の春には、星の杜広島中学校・高等学校も誕生します。
自分の学校を、胸を張って語れる生徒。社会は変えられると信じられる生徒。そういう生徒が一人でも増えていくことが、きっと、この社会の希望になっていくと思っています。
編集後記
取材を通して印象的だったのは、小野田校長が何度も口にされていた、「生徒たちが、社会に前向きになれるように」という言葉でした。
校則をなくすことも、定期テストをなくすことも、ただ新しいことをしたいからではない。「自分で考え、選び、行動できる人を育てたい」という願いが、星の杜の教育には一貫して流れていました。
そして、そのまなざしは、生徒たちだけに向けられているものではありませんでした。先生が生き生きと働ける環境を整えること。学校どうしが横につながっていくこと。電気を選ぶことさえも、「ひとりで抱え込まず、仲間と動いていく」という考えにつながっていたように感じます。
“必要とされる学校”とは、特別な学校のことではなく、生徒も先生も、自分のいる場所を好きでいられる学校なのかもしれません。
学校法人宇都宮海星学園 星の杜中学校・高等学校
栃木県宇都宮市にある私立の中高一貫校。女子校だった宇都宮海星女子学院を前身とし、2023年に共学化。「グローバル」「探究」「デジタル」を教育の柱に掲げ、校則や定期テストを設けない独自の教育方針をとっている。探究学習や英語教育、デジタルスキル育成に力を入れ、海外大学進学や総合型選抜にも対応。近年は全国から多くの教育関係者が視察に訪れるなど、新しい学校づくりが注目を集めている。

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