生産者のその先の自然環境まで考えた商品を。本当の美味しさを伝え、お客様にも自然の方向に目を向けて欲しい。 ー住吉酒販有限会社 庄島健泰氏
庄島さんは、住吉酒販さんの5代目だと伺いました。
はい、自分自身福岡の出身で、10年前くらい前に地元に戻って酒屋を継ぎました。その前は、東京でバンドをやっていたり、飲食関係の仕事をしていたり。
へえ、バンドですか。どのような経緯で住吉酒販さんを継ぐことに…?
高校卒業後、ずっと飲食の仕事には関わってきました。地元に戻る直前は、こだわりの強い高級鮮魚店で働いていたり、その魚屋から仕入れている居酒屋の厨房で働いていたりしました。
今とは逆の立場、お酒を仕入れる側で酒屋さんを見てきたわけですね。
魚屋の時は、飲食店に卸す他の業者という立場も経験しましたし、きちんと酒の勉強をしたわけではないけど、食の世界にはずっといたので、なんとなく酒の仕事は分かっていました。これまで、音楽も飲食もしたいことをしてきたのですが、そのしたいことの延長線上に酒屋が出てきたので後を継ぎました。
本当の美味しさを
ズバリ、住吉酒販さんのコンセプトは何でしょうか?
会社としてのテーマは「Field-to-table 」です。アメリカの「Farm-to-table」から来ているのですが、「農場から食卓へ」というのは既に当たり前になりつつあります。「Field-to-table」は日本語に訳すと「土から食卓へ」ですね。生産者のその先の自然環境まで考えるということです。
自然環境までですか。
本当の美味しさは、正常な自然環境と人の叡智の掛け合わせでしか生まれないと思っているんです。偽物といいますか、なんとなくの美味しさは人の技術や科学の力でできますし、そのような食べ物が世の中には溢れていまよね。
確かに、私も毎日なんとなく美味しいものを食べている気がします…。
うちは、酒を中心に、偉大な自然と人間の叡智が掛け合わされた、美味しさのその先を感じられるものだけを仕入れてお客様に届けています。これが1番のこだわりかな。本当の美味しさを伝えることで、お客様にも自然の方向に目を向けて欲しいと思います。
住吉酒販さんが酒屋さんとして掲げているテーマ「酒に笑う人生」とはどのような意味なのでしょうか?
酒って、演歌の世界じゃないけれど「酒に泣く」といった陰のイメージがあるじゃないですか。「酒に」の次に来る言葉が「笑う」であってほしいという願いを込めています。
確かに「酒と女に泣く」みたいなイメージがあります(笑)
「三方良し」という言葉があるように、住吉酒販では、お客様も、生産者さんも、自分たちも、お酒で繋がる全ての人々が幸せになるような商売をしたいと考えています。
素晴らしい考え方ですね。庄島さんご自身福岡の出身ということですが、博多の町に根付いた酒屋さんとして今後どのようにお店を発展させていきたいとお考えですか?
最近はオンラインのECサイトなどが発達していますが、その場所にある実店舗の価値はそこにしかにものがあると思うんです。
そこにしかない価値とは…?
街のためにお役に立てるかどうかだと思います。
といいますと…?
福岡には住吉酒販があるから、ちゃんとした酒が飲めるよねって言われるようになりたいですね。ふくやの明太子、茅乃舎、ピエトロドレッシングのように、福岡を代表する中小企業は食関係が多いんです。それが福岡が食文化の豊かさや、さらに町の文化度数を上げることに繋がっていると思います。
確かに、福岡って食文化が豊かなイメージがありますし、本当にごはんが美味しいです!
やはり地元で目の前にお客さんが来てくれるところに価値があると思うので、もっともっと店を強くして、酒で福岡の食文化にもっと貢献していきたいですね。
違和感があるものの
何もできていなかった
お酒造りと自然環境についても教えていただけますか?オーガニックの日本酒の話を聞いたことがあるのですが、酒を作るにも、農薬をたくさん使ったりするのでしょうか?
それもなくはないですが、現代の酒造りはかなり電気を使うんです。酒蔵自体が巨大な冷蔵庫ですし、自分たち酒屋も飲食店も保存するには冷蔵庫が必要です。
そうなんですね!初めて知りましたが、よくよく考えるとそうですよね…。
基本的に、冷蔵環境がないと現代の酒はできないのですが、古くからの農業・米作りから生まれた酒という点では矛盾が生じてきています。
伝統的な作り方では、やはり現代人には合わないのでしょうか。
江戸時代の作り方なら電気不要で自然の動力で酒造りができるのですが、それでは現代の味覚とはマッチしません。現実問題、莫大な電力を使わないと現代の酒は作れないんです。
「冷蔵庫無くして現代の酒なし」なんですね。
先進的な酒蔵は太陽光パネルを付けていることもありますが、うちみたいな販売店では危機感や違和感はあったものの、これといった取り組みは何もできていない状況でした。そんな中、ハチドリ電力の話を聞き、自分たちは何もできていなかったけど、電気を変えることで貢献できれば、と思いました。これなら気軽にできるというか、心ばかりの罪滅ぼしといいますか…。
住吉酒販さんは、酒屋4軒とさらにフレンチレストラン1軒の、計5つもの電気をハチドリにお申し込みいただいたんですよね。どうしても沢山の電気が必要になってしまうとのことですが、再生可能エネルギーにすることで、それだけ沢山のCO2が削減できるということでもあると思います!
ハチドリ電力にお申し込みいただく前に料金シミュレーションはされましたか?
いえ、していないです。日常的に使う電気で何かしら環境や社会に貢献できるというのが魅力なので、料金シミュレーションをして万が一高くなったとしても、申し込んでいたと思います。
そうだったんですね。料金よりも地球のため、社会のためにハチドリを選んでいただけて嬉しいです!毎月の電気料金1%の寄付先にはどちらを選ばれましたか?
「子どもの貧困・教育」カテゴリーの全団体を選びました。
それはまたなぜ…?
教育というのはとても大切だと思っていて。例えば酒の話でも、日本酒ってどんな飲み物なのか、正しい調味料ってどんなものなのか、大人になって知ろうとするより、子どもの時に社会科見学で、手作りしているお醤油屋さんに行って、香ばしい匂いを嗅いで、これが醤油なんだ!という体験をしておけば、大人になった時に本当の美味しさがわかる人が増えると思うんです。
私もそんな体験してみたかったです…。
現在、日本酒という飲み物は、酎ハイやビールなど様々なアルコール飲料の中の選択肢の1つという位置付けになっていますよね。しかし、本来は2000年も続く日本の稲作文化があり、それと共に、神様と交信するために酒というものがあったんです。
今とは全然位置付けが違いますね。文化の中心といいますか。
はい、米と酒は日本の文化の象徴として受け継がれてきたものなんです。大人になって初めて、アルコールの一種として日本酒に触れる人が多いですが、子どもの時にこれを勉強していたら違っていたのではと思うんです。
確かにそうですよね。子どもの時から知っていれば、見方が違うのかもしれません。
子どもの時から、お米って何?お醤油って何?お酒って何?ということを教育の中に落とし込まれていれば、これらの歴史や文化という側面をもう少し伝えられるのではないかと思って。ハチドリの提携団体が支援する、世界の子どもの状況は豊かさの上のものではないかもしれないけど、何かしら貢献できるなら子どもたちのために何かしたいと思いました。
そうですよね。子どもの教育への思いを、毎日使う電気を通じた寄付という形で表明できるのは、なかなか良いのではないかと思います。インタビューにご協力いただき、ありがとうございました!
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