人の温かさを、次の誰かへ。原冷熱工業がつないでいくもの

有限会社原冷熱工業さま
- 建設・インフラ
- 設備工事
- ~100名

長野県駒ヶ根市。三方を山に囲まれ、豊かな自然に恵まれたこの街で、「冷やす・温める」のプロフェッショナルとして、50年にわたり地域の暮らしを支えてきた会社があります。(有)原冷熱工業さんです。
ホームページには、「お客様、関わる人が全て幸せになること。さすれば、我々も幸せになる」という言葉が掲げられています。「長野で冷熱のことなら原冷熱」と言われるその信頼は、どのように育まれてきたのか。代表の中村さんに、お話を伺いました。
お客様にとって、一番いい答えを
まず、原冷熱工業さんでは、どのようなお仕事をされているのでしょうか。

冷蔵庫や冷凍庫、エアコンなど、冷媒(れいばい)と呼ばれるガスを使う設備の設計・施工・メンテナンスを行っています。2年ほど前からは、電気工事やエアコンクリーニングの事業も始めました。でも、私たちの仕事は、設備を取り付けることではないと思っているんです。お客様が快適に暮らせること。快適に仕事ができること。その空間をつくることが、本当の仕事なんですよね。
設備をつけることが、目的ではない。
そうなんです。だから、お客様から「エアコンを付けたい」と相談をいただいて現場へ行った社員が、「エアコンはいりません」と言って帰ってくることもあります(笑)。
よく見てみると、原因はエアコンではなく、建物の断熱や湿度にあることもあるんです。その場合は、壁の内装を見直したほうが、お客様にとっては根本的な解決になる。もちろん、エアコンを設置したほうが会社の売上にはなります。でも、それでは本当に困っていることは解決できません。
だから社員には、いつもこう伝えています。「お客様にとって、いちばんいい答えを持って帰っておいで」と。会社にとって得かどうかは、そのあとでいい。まずは、目の前の人を助けてあげてほしい。私は、そう思っています。
「ありがとう」を返していきたい
その考え方は、昔からあったのでしょうか。

子どもの頃の経験が大きいと思います。決して楽な暮らしではない家庭で育ったのですが、苦労したという気持ちより、「本当に周りの人に育ててもらった」という思いのほうが強いんです。
「周りの人に育ててもらった」というのは、どんなことがあったのでしょうか。
今思えば不思議なくらいなんですが、血のつながりのないご家族が、旅行に連れて行ってくれたことが何度もあったんです。しかも毎年のように。野球チームの仲間のお父さん、お母さんだったり、そのまた別のご家族だったり。家族で海へ行った思い出より、地域の皆さんと出かけた思い出のほうが多いくらいなんですよ(笑)。本当に、いろんな人が私のことを気にかけてくれていました。
「あのとき助けてもらった」という気持ちは、今でもずっとあります。だから、いただいたものを、今度は自分が返していきたい。社員にも、お客様にも、地域にも。私にとって仕事は、そのための一つの方法なんです。
思う気持ちは、めぐっていく
会社で大切にしている「思う気持ちの連鎖」という言葉も、その経験から生まれたのでしょうか。

そうですね。会社って、お客様との関係以上に、社内の人間関係で悩むこともあります。だからまずは、社員同士がお互いを思いやれる会社であってほしい。その思いやりが、お客様へ伝わって、地域へ伝わって、また誰かへ返っていく。私は、そういう循環をつくりたいと思っています。
社員のみなさんにも、その考え方は伝わっていますか。
ありがたいことに、そう感じる場面は多いですね。以前、社員がご縁のあった海外の子どもを、会社として応援しようという話が出たことがありました。売上の一部を、その子の夢のために使おう、と。すると若い社員たちが、「それ、いいことですね」「その子が助かるなら、ぜひやりましょう」と自然に言ってくれて。損得ではなく、誰かのためになるならやってみよう、と考える人が多いんです。たぶん、そういう人たちが自然と集まってくれているんでしょうね。
人は、信頼で動く
その思いやりは、お客様との関わりにも表れているのでしょうか。

私は、「信用」と「信頼」は少し違うと思っているんです。信用というのは、銀行がしてくれるような実績に対する評価ですよね。でも信頼は、まだ実績がなくても、「この人になら任せてみよう」と思っていただけること。私はどちらかというと、「信頼」を大事にしたいんです。
信頼は、どのように築かれていくものだと思いますか。
特別なことじゃないと思うんですよ。人とちゃんと向き合うこと。約束を守ること。困っていたら力になること。そういう積み重ねなんじゃないかなって。
以前、飲食店でたまたま隣に座った方とお話しする機会がありました。仕事の話というより、お互いのことをいろいろ話していたら、気づけば3時間くらい経っていて。翌日、その方から「中村さんにお願いしたい仕事があるんだけど」とご連絡をいただいたんです。
もちろん、その場で営業をしたわけではありません。でも、「この人と一緒に仕事がしたい」と思っていただけたのかな、と。ありがたいことに、そういうご縁をいただくことが、うちはけっこう多いんです。仕事は、人が運んできてくれるものなんだな、と感じます。
環境のことは無関係ではいられなかった
今回、ハチドリ電力を選んでくださったのは、どんな想いからだったのでしょうか。

私たちの仕事は、フロンガスを扱う仕事です。便利なものですが、扱い方を間違えれば、地球温暖化にもつながってしまいます。だからこそ、この仕事をしている以上、環境のことは無関係ではいられません。
実際、年々暑くなっていることも感じますし、水も昔とは変わってきたな、と感じることがあります。だから、環境のためになる選択があるなら、多少コストが変わったとしても、そういうところへ還元していきたいと思ったんです。
「関わる人を豊かに」という思いが、環境にもつながっているんですね。
そうかもしれません。私たちが大切にしたい「関わる人」って、いま目の前にいる人だけじゃないんです。この地域も、これから先の未来を生きる人も含まれている。だからこそ、環境のためにできることがあるならやっていきたい。自然エネルギーを選ぶことは、私にとっては、とても自然なことでした。
人と人の、信頼を積み重ねて

これから、どんな会社でありたいと思っていますか。
やっぱり、人と人との信頼を積み重ねていける会社でありたいですね。その積み重ねが、お客様の豊かさになって、社員の豊かさになって、地域の豊かさにもつながっていく。私は、そう信じています。
ここで事業をさせてもらっている以上、地域の皆さんのご理解やご協力があってこそ、なんですよね。支えてもらっているからこそ、地域に返していきたい。駒ヶ根って、自然も豊かで、人もあたたかい、本当にいい街なんです。その魅力を外に伝えていくことも、法人だからこそできることかもしれない。「原冷熱工業が、この街にあってよかった」と思ってもらえたら、これほど嬉しいことはありません。
結局、私がやりたいのは、人を喜ばせることだけなのかもしれません。仕事は、そのための手段。たまたま、それが冷熱の仕事だった、というだけなんです。その根っこさえ変わらなければ、これからも、やっていけるかなと思っています。
編集後記
取材を終えて印象に残ったのは、中村さんが何度も口にしていた「人」という言葉でした。
思いやりが、社内をめぐり、お客様へ伝わり、地域へと広がっていく。利益にならなくても、お客様にとっていちばんいい答えを返すこと。実績よりも、「この人に任せたい」と思ってもらえる信頼を積み重ねること。その一つひとつが、幼い頃、地域のたくさんの人たちに支えられた経験から、まっすぐにつながっていました。
取材の最後、中村さんは「人が好きなんです。仕事は、あくまで手段で」と笑って話してくださいました。その言葉を聞いて、いただいた優しさを、次の誰かへ返していくこともまた、仕事の一つのあり方なのかもしれない、と感じました。
原冷熱工業さんが積み重ねていく信頼は、きっとこれからも、駒ヶ根の街に、あたたかくめぐっていくのだと思います。
有限会社原冷熱工業
長野県駒ヶ根市にある、冷熱設備の会社。冷蔵庫や冷凍庫、エアコンなど、冷媒(フロンガス)を扱う設備の設計・施工・メンテナンスを主軸に、地域の暮らしを50年にわたり支えてきた。家庭やお店、工場のほか、繊細な温度管理が必要なきのこ栽培の機器まで、幅広く手がける。フロンガスの回収・処分やリサイクルにも取り組み、「お客様、関わる人が全て幸せになること。さすれば、我々も幸せになる」を掲げ、人と人の信頼を大切にする経営を実践している。
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