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ハチドリ電力は、無意識にどれだけ電気を使っているかが分かる仕組み。当たり前のことが分かるところに価値がある。ー株式会社ドーガン・ベータ 渡辺麗斗さん

自宅の電気を申し込みました
こんにちは。ハチドリ電力の佐野です。この度、株式会社ドーガン・ベータ 取締役パートナーの渡辺麗斗さんが、ハチドリ電力の仲間に加わってくれました。この記事では、地方で新しい産業を生み出すベンチャーキャピタルの取り組みや、環境問題と投資について、さらにハチドリ電力へお申し込みいただいた理由など、様々なお話を伺っていきます!
スタートアップの
エコシステムを作りたい
 

渡辺さんは、静岡のご出身で、大学では神戸へ、その後株式会社ドーガンに入社されたと伺いました。ドーガン・ベータさんは、九州に根ざしたベンチャーキャピタル(VC)とのことですが、九州は渡辺さんには一見縁のない地域に見えます。

大学時代にベンチャーキャピタルに出会い、新卒でドーガンへ入りました。VCに興味を持ったきっかけは、新しい産業を生み出す企業が地方からたくさん生まれてくることで、地方の新しい魅力を作れないかと考えたからです。

 
 

なぜ新しい産業が地方に必要なのでしょうか?

静岡も地方ですが、自分自身、大学を出た後に静岡に戻るかを考えた時に、働きたい会社がどれほどあるのかということに課題感を感じました。それを解決するために、地域に根ざしたVCが果たす役割は大きいと思います。

 

VCが地域のスタートアップを支援することで、彼らもまた地域に根ざした新しい産業になっていくのではという仮設があるのですが、それに加えて、投資で得た収益をまた次の世代に投資して還元していくことで、地方にスタートアップが根付く仕組みを作ることができると考えています。それまで九州にはほとんど行ったこともなかったのですが、2012年当時、日本でこのような活動をしている企業がドーガンしか見当たらなかったので、ここに入りました。

 
 

そうだったんですね。地域経済の抱える根本的な課題は「雇用の多様性がない」ことだと伺いましたが…

はい。地方には給料の良い仕事が少ないために優秀な人が集まらないとも言われていますが、問題は給与だけではないと思います。福岡であれば、給与の高い会社といえば、テレビ局や銀行、電力会社など、古くからの会社しかありません。

 

新しいチャレンジをしたい人たちにとって、それを評価してくれる会社があまりにも少ないんです。ビジネス面で新しいことが生まれる仕組みがないといいますか。

 
 

新しいことに挑戦したい人が求める仕事をたくさん作っていく必要があるんですね。地方から新しいビジネスを生み出した先には、どのような状態を目指されているのでしょうか?

短期的には、私たちが支援しているベンチャーやスタートアップが大きな成功をすること、そして彼ら自身が収益を上げて持続可能な良い会社になってくれることを目指しています。

 

そして、それにより大きな企業が生まれると、次に目指すべき第2フェーズに入ります。そこで利益を得た人やノウハウを持った人材が、お金や人材の面で次の世代に投資をすれば、自分たちがみんなと協力して生み出したものが次の世代に流れていきます。

 
 

地域の中で生まれたものから、さらにお金や人材が循環していくんですね。

このように、最終的には自分たちベンチャーキャピタルのような、それを仲介する人がいなくなっても、地域で新しいものに対して、前の成功者が投資するということが自然に起こっているのが理想の状態です。食物連鎖の中で循環する自然界のエコシステムと同様、人とお金が循環するスタートアップのエコシステムを作っていきたいですね。

 
経済成長と環境への配慮を
両立させた
ビジネスのあり方を
 

環境問題に対して、渡辺さんご自身が日常生活やお仕事の中で取り組まれていることはありますか?

普段の生活の中では本当に小さなことしかできていないと思います。エコバッグを使うだとか。そういえば、最近コンポストも始めました。

 
 

それだけでも十分素晴らしいと思います…!

環境というのは、全人類が抱えている課題だと思います。ただ、普段、金融というポジションにいると、経済を優先させ、環境が後回しになってしまいがちなのが個人的に課題だと感じています。

 
 

確かに、経済活動を行う上でどうしても環境への負荷はかかってきてしまいますよね。

自分たちVCとしては、環境への配慮を投資先に求めていきたいと考えています。とはいえ、成長の過程でそれを行えるかというと難しい面もあり、それを両立させるようなビジネスのあり方を模索していきたいですね。

 

多くのベンチャーというのは、誰かの課題を解決する意義深いものです。ただ、結果的に、その人の課題は解決されても、不経済や環境への悪影響などが発生してしまうのは正しくないと思います。私たちが投資を決める時には、いくつかチェック項目があるのですが、不経済への意識があるのかなど、社会的意義もその中に含まれています。

 
 

そうなんですね。ESG投資という言葉を聞いたことがあるのですが、その一貫なのでしょうか?

ESG投資という厳密な方針はVC界隈ではあまり聞きません。ソーシャルインパクトを可視化する取り組みについて、私も頭の中にはありつつ、明確に打ち出せている会社はあまりないように感じます。

 
ハチドリ電力は、無意識にどれだけ
電気を使っているかが分かる仕組み
 

渡辺さんは、ご自宅の電気をハチドリにお申し込みいただいたと伺いました。ありがとうございます!お申し込みの決め手となった理由は何だったのでしょうか?

自分も妻も、もともと地球環境などに対しての課題感や興味関心はありました。ただ、日常の中での小さな心がけなど、自分たちのできる範囲で。ハチドリ電力は実質自然エネルギー100%の電気であるだけでなく、電気代の1%がソーシャルグッドなものに還元される点も良いと思いました。電気という毎日使うものを通じてこのような活動ができると、自分たちとしても、日々社会課題を意識しやすいですね。

 
 

確かにそうですね。自分が使うお金がどこへ行くか考えるきっかけになりますね。

電気を切り替えるだけという一見簡単なことでも、自分たちからするとちょっとしたアクションです。ハチドリ電力が採用している市場連動型の料金体系は、無意識にどれだけ電気を使っているかが分かる仕組みという面でも、面白いと思います。

 

電力の市場価格の上下は、需要と供給に基づいていますよね。夏の昼間にみんながクーラーを使えば、価格は上がるわけです。今までは定額の電力会社を利用していたため、電気を使うことが環境に悪いことだとあまり実感できていなかったのですが、価格が上がるというのは、世の中に電力が足りていないからその分誰かが追加で作っているということです。このような当たり前のことがわかるというだけでも価値があると思います。

 
 

確かに、自分たちがどれだけ電気を使っているか、よりリアリティをもって感じられるようになりますね。

自分自身、普段から株などの価格が上下するものを見ているので分かることでもあると思うのですが、多くの人はそもそも電気の価格が上下するの知らなかったり、それがなぜなのか知らないこともありますよね。

 
 

恥ずかしながら私も以前は、電気の価格が上下するなんて考えたことがありませんでした。

夏の昼間など電力価格が上がってしまった時に、なぜ価格が上がるのか、その時に我々は何を考えるべきなのか、それが地球環境とどう結びついているのか、ハチドリ電力側からもきちんと説明されればさらに良いと思います。需要が高くなれば価格が上がるのは避けられないことです。上がった時にはその理由と共にメールなどでお知らせが来ても面白いかもしれません。

 
 

確かにそうですね。環境問題の解決のためにハチドリにお切り替えいただいた方々だからこそ、なぜ今このような状況になっているのか説明していくことも大切ですね。

そうですね。地球環境への影響が肌で感じられて良いと思います。料金が上がってしまった時はできるだけ使わないようにしようとも思えますし。

 
 

多くの人にそういった意識を持っていただくことも、ハチドリの役割なのかもしれませんね。電気を通じた寄付先にはどちらを選ばれましたか?

 

国内外の子どもの教育支援や家族の自立支援に取り組まれている団体さんですね。フリー・ザ・チルドレン・ジャパンさんを選んだ理由も教えていただけますか?

妻に選んでもらったのですが、自分自身、最近子どもが生まれたこともあって。仕事においてもそうですが、次の世代に対して自分たちができることは何だろうということを常に考えています。その次の世代というのは、究極的には、子どもなので、そこをターゲットに活動している団体を選びました。

 
「生きづらさ」を感じる人が
少ない世の中に
 

最後に、渡辺さんご自身は、これからどんな社会を実現していきたいとお考えでしょうか?

仕事でも個人としてもテーマとしていることは、「生きづらさ」を感じる人ができるだけ少ない世の中にしたいということです。自分らしくといいますか、各々が本当にしたいことをできる社会になれば…。そのためにベンチャーキャピタルで働いています。

 
 

その社会の実現のためには、何が必要なのでしょうか?

各々が自分の行きたい道を選べるような環境整備が大切だと思っています。何かしようと思った時にできるよう、地球環境を整備することも大切ですし、自分たちは金融の面で整備していきたいと考えています。

 
 

その環境整備の中で、私たちひとりひとりはどのように取り組んでいけるのでしょうか?

世の中では、選挙に行こうだとか、NPOに寄付しようだとか言われていて、それもとても大切ではあるのですが、まずは自分が過ごしやすい環境を作っていくことが必要だと思います。

 
 

まずは自分の環境ですか。

環境のせいにするのではなく、まずは自分の環境をしっかりと見据え、変えていく努力をすることです。少しでもそれが変えられることが見えてくると、他の人の環境も変えていけるはずです。まずは、自分の置かれている環境を整えていくことからスタートし、次のステップでそれを周りの人に向けていけば良いと思います。ただ自分の力で変えることができない、またそれに気づくことすらできないという場面もあるため、政治や市民活動のような公助や共助での環境整備ももちろん重要です。

 
 

確かにそうですね。今自分が置かれている環境に文句を言うのではなく、まずはそこを変えた上で、他の人の状況も変えていけたら良いですね。インタビューにご協力いただき、ありがとうございました!

プロフィール

渡辺麗斗

株式会社ドーガン・ベータ
取締役パートナー

1990年生まれ、静岡県静岡市出身。大学2年時に学問としてのベンチャーファイナンスに出会い、そのダイナミズムに惹かれる。在学中の2012年より「金融の地産地消」を実践するドーガンに参画、後に入社。一貫して九州に縁のある起業家への投資業務に従事する。コワーキングスペース「OnRAMP」や、起業相談窓口「福岡市スタートアップカフェ」にも設立時より関与。2017年にドーガンβを共同創業し独立。漫画と生クリームが好き。

 

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