フェアトレードが当たり前の社会にしたい。途上国の生産者と作った商品を日本の皆さんに。 ーTeebom イマイナホコさん
Teebomさんはフェアトレードの専門店なんですね。
はい。フェアトレードとは、アジア、アフリカや南アメリカなどの開発途上国の原材料を用い、作られた商品を適切な対価で購入・輸入する貿易の仕組みです。
お店ではどんな商品を扱っているのですか?
お店で扱っているコーヒーは自家焙煎で、紅茶・スパイスはスリランカの農園から直輸入しています。また、雑貨も、インド、バングラデシュ、ペルー、グアテマラ、ガーナなどの生産者と協力して、商品の企画から一緒にオリジナルのものを作っています。
三者にとってフェアなビジネスを
どのような経緯でこのお店を始められたのでしょうか?
きっかけは、28歳の時。JICAの青年海外協力隊としてスリランカで活動したことです。農村に派遣されたのですが、現金収入の少ない女性たちと一緒にパッチワークを作り、それを商品化して都市部で販売をする行商のプロジェクトを始めました。
田舎からの女性たちは、都市の人と比べるとないない尽くしです。金銭面でも、教育面でも、英語を話さないという面でも、カーストの面でも。これにより、都市でパッチワークを販売しようと思っても、騙され、搾取されてしまっていました。
同じ国の中でも、都市と農村では大きな格差があるんですね。
はい。買い叩かれたり、代金を全く支払ってもらえないこともあったり。協力隊としての活動を終えた後も、再度仕事でスリランカに滞在することがあったのですが、その状況の解決策が分からず、当面は、村の女性たちが作ったものを買い取り、知人たちにあげたり、買ってもらっていました。
今されている活動の原点ですね。
その後、色々な国に赴任する中でフェアトレードを知りました。その国が抱える問題を、外国人の自分としては、貿易というアプローチで解決できるのではないかと思い、オーストラリアの大学院でフェアトレードやソーシャルビジネスについて学びました。これが現在の仕事のベースになっています。
フェアトレードは、生産者にとっては良い仕組みですが、購入する側からすると、値段が高く、品質が伴っていないことが少なくないことも事実です。でも、フェアトレード、すなわち「公正な貿易」は1つの仕組みとして当然実現されるべきものですよね。作り手、売り手、買い手の三者にとってフェアなものをビジネスとして追求していきたいと考えています。
途上国の生産者と一緒に商品を作る中で、イマイさんが特にこだわっていることはありますか?
私が現地に行かないことです。
といいますと…?
私自身、これまで16年間、開発途上国で生活してきたのですが、その中で感じてきたことがあります。多くの途上国は、欧米による植民地支配を経験していますよね。近代化などそれにより得るものがあった一方で、住民のメンタリティの面では自治権のない時代のものが踏襲されてしまっているように感じることがあって。
例えばどのような場面でそれを感じられたのしょうか?
私も、企業に勤めていた頃は、現地のパートナー会社の方に、あれをやってほしい・これをやってほしい、と指示する立場だったのですが、彼らは決してNoと言いませんでした。その国の文化的な背景などを知らずに、日本のやり方をそのまま持って行っても。
この外国人に対してNoと言えない環境が、植民地支配を通じて作られてきたものなのではないかと感じていて。実際に、これにより買い叩かれてしまう生産者も多くいます。
生産者が、自分はこうしたいんだという気持ちを言えないんですね。
はい。自分がバイヤーとして現地に行った時、彼らがやりたくないこと押し付けてしまうのは嫌だなと思って。そんなわけで、私が現地に行って指示をするのではなく、彼らの持っているスキルをプラスに作用させながら商品を作ってもらうようにしています。
現地の文化を尊重しながら商品を作り、日本で販売するというのは、難しいこともあるのではないでしょうか?
そうですね。そんな時は、生産者に日本に来てもらいます。
なるほど、イマイさんが行くのではなく生産者さんに来てもらうんですね!
例えば、ペルーでは、1つの商品を開発するのに3年かかっても上手くいかないことがありました。何度やり直しをしてもなかなか改善されなかったため、一度日本に来てもらうことにしたんです。日本のやり方を押し付けるような指示出しはしないと言っても、やはり日本で販売する商品なので、日本の文化も尊重しないと売れません。
日本で販売する際に特に譲れない部分は何でしょうか?
仕上げの部分ですね。長く良いコンディションで使ってもらうために、見えないところまで配慮した商品にしたいと考えていています。ペルーからはマリアさんという方が来てくれたのですが、日本に身を置いてみて、文化を体験してみて、初めてお願いしていることを分かってくれたようでした。
お互いの文化や価値観を知ることで、それを尊重しながら商品を作れるようになったんですね。
信頼関係が最も大切だと考えているのですが、これにより相手を思う時の想像力が働きやすくなると思うんです。マリアさんが得たことを生産者グループのみんなに伝え、全ての商品を改善したところ、私たちだけでなく、アメリカのバイヤーからも高評価を受け、注文が増えたそうです。
ええ、日本だけでなくアメリカでも!
このように水平展開されることで、生産者自身の技術力も上がります。彼らの基本的な文化や積み上げてきたものは壊したくないけれど、最終的には彼らが自立することが大切です。これからも、じっくりと生産者を向き合い、お互いを信頼できるパートナーとして尊重しあいながら、日本の皆さんに喜んでもらえる商品を作っていきたいと考えています。
イマイさんは、このお店を通してどのような社会にしていきたいとお考えですか?
フェアトレードが当たり前になる社会でしょうか。
公正な貿易って、特別なことではないですもんね。
自由貿易は常に競争の世界ですよね。でも、それ以前に、競争に参加できない人もいます。彼らはスタートラインにも立てていないのに、勝ち負けだけで暮らしが決まるのには違和感があって。そんな状況を少しでも変えられるよう、フェアトレードが当たり前の社会を作っていきたいと考えています。そのために、あと10年はお店を続けていきたいです。
お店の電気をハチドリ電力にお切り替えいただいたと伺っています。ありがとうございます!お申し込みの決め手となった理由は何だったのでしょうか?
私自身、大学院で社会起業について勉強していたので、ハチドリ電力や、この事業を展開するボーダレス・ジャパンの取り組みにはとても共感しました。
そう言っていただけて嬉しいです!
ソーシャルビジネスを大規模で展開するのは簡単なことではなく、フェアトレードのお店は一般的に2年も続かないと言われています。ハチドリ電力は素晴らしい取り組みだと思うので、ぜひもっと多くの人に広げていってほしいです。
電気という全員が当事者となれる事業をやっているので、多くの人が参加してくれるよう、頑張っていきます!
ハチドリ電力では、電気料金の1%で社会を良くするために活動する人や団体を応援できるのですが、支援先にはどちらを選択されましたか?
何か理由があれば教えていただけますか?
私自身、動物が好きなんです。盲導犬の支援をしていたり、オーストラリアにいた時は特に動物との関わりがあったり。
でも、動物愛護というのは難しい分野だとも感じています。うちのお店ではペルーのアルパカの製品を扱っているのですが、その生産者が極端なアニマルライツ擁護者のプレッシャーを受けていると聞きました。
それは具体的にはどんなことなんでしょうか?
私たちの取引先は、アルパカの毛を刈る時に命をとることはもちろんありませんし、寒さを考え、全ては刈らないようにしています。ただ、アルパカの毛の需要の高まりにより、中には、極端に酷いことをしている会社もあるかもしれません。アルパカは、人間の役に立ってくれる社会的な生き物なのですが…
バランスが難しいですね。
そうですね。この件は私に考える機会を与えてくれました。動物愛護は課題も多く関心のある分野なので、ハチドリ電力を通じても、そこに取り組まれている団体を応援していきたいと思います。
関心のある分野に取り組む団体を応援できるのは嬉しいですね。ハチドリ電力では、団体の活動や取り組む課題についても発信していきますので、ぜひ楽しみにしていてください。インタビューにご協力いただき、ありがとうございました!
プロフィール
住所:静岡県静岡市葵区駿府町1-50
お店はフェアトレード一色!コーヒーは自家焙煎、紅茶はスリランカの茶園から直輸入したオリジナル。ペルー、インド、バングラデシュの生産者グループとはバッグ、ショールなどの服飾雑貨を協力して作っています。作っている人も、それを購入する人も、皆Happyになれるようなサイクルを作ることがTeebomのミッションです。
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