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NPO法人APLA
2020/06/12
小学校での出張授業

APLAの活動の柱のひとつに、公正で、人のつながりが豊かな社会をつくるために「身近なモノを通じて世界について考える」広報・教育活動があります。2019年度は、1年間にわたって横浜市立瀬谷第二小学校6年4組の総合の授業を担当する機会を得ました。

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第1回目の授業では、「バナナの国フィリピン」と題し、フィリピンの文化、バナナの流通、バナナを取り巻く環境や健康問題などを伝え、第2回目は、フィリピン・ネグロス島からテレビ電話をつないでの交流。第3回目には、バナナの貿易ゲームを通じて、モノの流通や貧困について考えるアクティブラーニングを実施しました。

バナナの貿易ゲームでは、各グループが地域別の生産者たちであると仮定し、それぞれにバナナを生産するための道具が入った袋を配布。その道具はグループごとに異なり、色鉛筆しかないグループもあれば、はさみやシールなども使えるグループもあり、元々の道具(=資本)の違いにより、その後の生産にも影響を与え、格差が生まれることを体感してもらいます。なお、完成したバナナの質に応じて販売価格にも差が出ます。

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・色が塗ってあり、切れている・・・2ポイント

・色が塗ってあり、はさみで切れている・・・100ポイント

・色が塗ってあり、はさみで切れていて、シールが貼ってある・・・200ポイント

 

ゲーム中子どもたちからは「こんなのいくら作っても負けちゃうよ!」「あっちのグループはずるい!」などの意見が飛び交っていました。​ゲームの途中、道具の販売をしましたが、買うことができるのはお金を持っているグループのみ。お金があると道具を増やしてさらに生産性を上げることができ、差は広がるばかりです。1回目のゲーム終了後、第1回目の授業のおさらいとして、バナナ生産を取り巻く問題や民衆交易について話をしました。そして、みんなが幸せになるにはどうしたらよいか、といった疑問を投げかけて2回目のゲームに。

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基本的なルールは同じですが、「より多くの得点を稼いで勝つこと」が目的だった1回目に対して、2回目は「みんなが幸せになること」について考えてもらい、それを目的としたところ、「シール欲しい人~?」「ハサミ安く売るよ!」とグループに必要以上の道具は譲ったり、少し我慢して道具をシェアしたりする子どもたちが出てきました。

他には自分たちのチーム分のバナナ生産をできるだけ早く終わらせて、使わなくなった道具を他のグループに渡そうと頑張る子どもたちや出来上がったバナナ自体を交換する子どもたち、さらには新しく道具を購入して他のグループに渡す子どもたちの姿も見られました。

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2回目の方がゲームの内容やルールをよく理解していて要領がよくなったこともありますが、ほとんどのグループが得点を大きく上げ、全体の合計得点にもかなりの違いが出たことが印象的でした。振り返りでは、「想い合えば全体が良くなることが分かった」、「貧富の差を身をもって感じた」、「バナナを購入する際に安いバナナを選んでいたが、そういった意識がフィリピンの生産者の貧しさにつながってしまっていたと思う」などの感想が子どもたちから活発に出されました。

こうしたゲームをはじめとして、1年間のバナナについての授業で体験したこと・感じたことが元になって、日常生活での自分の消費行動について何かのきっかけに立ち止まり、世界で起こっていることを意識して行動できるようになってもらえたら…。今後もこうした広報・教育活動を積極的に実施していきたいと考えています。

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