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認定NPO法人ポケットサポート
2020/10/12
先天性心疾患を抱える当事者が考える「病気との付き合い方」

一言に『病気』と言っても風邪や頭痛といった比較的軽い病気から、特定疾患や難病と呼ばれる非常に重い病気までたくさんあります。さらに、一人ひとり症状が違うため、同じ病気でも「病気との付き合い方」は様々です。

今回は、「先天性心疾患」を抱えているボランティアスタッフKさんにお願いして、自分自身の経験をもとに「病気との付き合い方」について、ひとつの考えを教えて頂きました。

 

目次

  1. 1. 病気により様々な制限や、できないことがある
  2. 2. 「できないこと」ではなく「何ができるか」に目を向ける
  3. 3. まとめ
  4. 1. 病気により様々な制限や、できないことがある

    私は生まれつき心臓の機能が弱く、血液を全身に送る力が十分でないため肉体労働は難しいです。

    また、少しの歩行で動悸や息切れ、脈拍・血圧低下によるめまいなどの症状により、日常生活に支障をきたすこともあります。

    私を含め、病気を抱えている多くの人は副作用のある薬を服用しており、それによる様々な制限もあります。日常生活を送るだけでも多くのできないことや制限があり、これは大人でも子どもでも同じです。

    先天性(生まれつき)の病気の人や、幼少期に病気を発症した子どもたちは、これらの制限がある中で治療をしながら日常生活や学校生活を送っています。

    学校生活においても、このできないことと制限されることは大きく関わってきます。

     

    入院や退院を繰り返すことによる学習の遅れや、退院しても自宅療養により学校に行けず友達に会えない寂しさ、さらに日常生活に制限もある子どもたちの心情は容易に想像できるものではありません。

    みんなと一緒に授業を受けることや遊ぶことができない悔しさ、自分がしたいことができない悲しみ、何もできない自分に対する怒り、これらのことで悩んでいる子どもたちは少なくないと思います。

    私自身も、その一人でした。

    また、私の病気は外見では分かりにくく、体調が悪く休んでいると「ずる休みしてるんじゃないか」、「さぼってるだけじゃないの」と中学校時代にクラスメイトから言われたこともありました。

    当時は「そういうつもりじゃないのに」、「やっぱり他の人には理解してもらえないのか」と思いました。自分の病気に対する葛藤や苛立ちを抑えて学校へ通っていました。

    しかし、主治医や母親からの励ましもあり、自分の中で少しずつ意識を変えていきました。

    2. 「できないこと」ではなく「何ができるか」に目を向ける

    病気によって制限はあるけど、何もできないわけじゃない。

    入院していても自宅療養をしていてもできることはある。

    今の自分にできることを考えて、それを少しずつ実行していきました。

    まずは、自分の病気について知ること

    どこが悪いのか、体調が悪いとどうなるのかを自分なりに調べたり主治医に聞いたりと、色々な方法で病気への理解を深めました。

    自分の病気を客観的に理解することで治療に対して前向きになれたことや、周りの人(友達や学校の先生)に自分の病気ことを説明できるようになりました。

    これにより社会人になっても、病気による制限で対応できない業務を上司に伝えることもできました。

    「できないこと」が多い中で「できること」を少しずつやっていくことで、悲しさや苛立ちは消えていきました。

    自分の病気について調べることは最初は怖かったですが、いずれは知らないといけなくなると思い、少しずつ調べ始めました。

    病気を抱える自分をプラスに考える

    自分の病気を嫌いと思っている方も、たくさんいると思います。

    ですが、自分が病気でなかったら出会えなかった友達や仲間、病気を通して培った経験は、あなたにしかない大切な宝物です。

    病気との「付き合い方」は一人ひとり違って当たり前で、私の考え方が正しいわけでもありません。また、正解があるわけではなく間違いもありません。できる範囲で、少しずつでも考えていくことが重要だと思います。

    自分が抱えている病気をマイナスばかりに捉えずに、少しでもいいからプラス(ポジティブ)に捉えるようにする。

    それが私が考えて実践している、ひとつの病気との上手な「付き合い方」です。

    3. まとめ

    先天性や慢性の病気を抱える子どもたちにとっては、友達やきょうだいと違う自分が嫌だったり、食事や行動の制限を我慢できなかったりと、ストレスを感じている子どもたちも多いと思います。

    お父さんやお母さんには迷惑をかけたくないと相談できず一人で抱え込んでいる場合や、友達や学校の先生に病気のことを上手く伝えられないと悩んでいる場合もあります。

    一人ひとり病気や年齢、置かれている状況は異なりますが、同じように長期療養を経験している者同士だからアドバイスできたり、安心して悩みを話すことができている場面もたくさん見てきました。

    私たちポケットサポートは、そんな子どもたちに当事者として寄り添いながら、将来に希望を持って自分らしく暮らせ、笑顔になれる社会づくりを進めていきたいと考えています。

    ぜひ皆さんも一緒にポケットサポート応援団として活動を見守って頂きながら、お近くに不安を抱えているお子さんやご家族、医療や教育関係者がいらっしゃいましたら当団体をご紹介頂ければ嬉しいです。

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